考える力

2015年4月23日

最優秀育成クラブに学ぶ!些細な会話の積み重ねで子どもは振り向く

■些細な会話の積み重ねが子どもの心を開く

――小さい子どもを持つお父さんお母さんには、子どもを褒めるといっても一体どこを褒めてあげればいいのかわからない、という声があります。
 
「小さいことでいいと思います。ぼくの場合はまずスパイクを褒めますね。『かっこいいスパイクだね』『お母さんが買ってくれたの? お母さん、すごく期待しているんだね』とか。そういうことを言い続けていると、その子との距離感が近づきます。逆に、距離を取ろうとする子どもも中にはいます。低学年でも寄ってこない子どもがいる。そういう子どもに対しては『今日の授業は、何時間あったの?』とか、子どもが絶対に答えられるような質問をするんです(笑)。そうすると『5時間』とか返ってくるから『6時間じゃない?』などとしつこいくらいに返すんですよ(笑)」
 
――子どもの答えも短いですね(笑)。
 
「そうなんです(笑)。その質問をすることで、子どものプレーが劇的に変わるわけではないけど、コーチが子どものプレーに感じたことを言いやすくなるとは思います。距離ができてしまうと気を遣ってしまい、言えなくなってしまうので。ぼくももともとは人と接するのが得意な方ではないので」
 
――そうなんですか?
 
「そうです。『こう言ったら大丈夫かな?』というのを探りながら自分の声がけの方法を発見してきました。小さい声掛けを積み上げていくと、子どもとの信頼関係ができて、こっちが何か言ったときに聞く耳を持ってくれます」
 
――絶え間なく声掛けをされると、子どもは『ちゃんとぼくのことを見てくれている』と思いますよね。
 
「そうです。あと、子どもがビブスを着てしまって名札が隠れたとき、いくらコーチといっても人間なのでどうしても咄嗟に名前が出てこないこともあります。そういうときには『ナイキ!』とか、左足で見事なゴールを決めたら即座に『エジル!』などと呼んであげる。ぼくも一緒に混じってゲームをやるときには、始まる前に整列したときに『今日、コーチはロッベンでいくからね』と宣言して、スピード重視でプレーしてみたりすると子どもが喜んでくれるし、距離も縮まります」
 

■何かを教えているという感覚はない

――一緒にサッカーを楽しむスタンスですね。
 
「コーチと生徒という役割はあるけど、立場は対等なんですよ。寄り添いながら子どもと向き合う姿勢が大事なのかなと考えています。ぼくはいつも子どもに対して『何を考えているのかな』と考えています。『どうしたら喜ぶかな?』『あいつ全然笑わないなあ、じゃあ次はこの手でいくかな』とか。ぼくはサッカーが好きなので、子どもと一緒にサッカーをするのが大好きだし、未だにミニゲームで股抜きが成功すると喜びを感じたりしますから(笑)。自分が何かを教えているという感覚はありません。でも、そういう雰囲気がすごく大事だとは思っているんです。ヴェルディでは1カ月に一度、早朝親子サッカーをしています。子どもと親が一緒にサッカーをするのですが、スライディングを駆使するくらい本当に真剣にやってもらいます。大人がボールを持つと子どもは一人では奪えないから二人で行ったり、試行錯誤する。南米では大人と子どもがごちゃ混ぜになってストリートサッカーをするなかで自然とうまくなりますが、そういう場所になれたら良いなと思って活動しています」
 

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