考える力
2015年8月 4日
「決定権は子どもに持たせる」元プロ野球選手・高木豊の父親論
元プロ野球選手にして、3人の息子をJリーガーに育てた高木豊さん。サッカー少年の父親として、サカイク読者の先輩とも言える高木さんは、どのようなスタンスで子どもを育てたのでしょうか。前編となる今回は、高木家の教育方針を語ってもらいました。(取材・文・写真 小須田泰二)
■子どもと日頃からしっかりと話し合うこと
――長男の俊幸(浦和レッズ所属)さん、次男の善朗(東京ヴェルディ所属)さん、そして三男の大輔(東京ヴェルディ所属)さん。高木家3兄弟全員がそろってプロのサッカー選手として活躍しています。どのような子育てをされてきたのでしょうか。
「自分のことは自分で決めなさい!」と言い続けてきました。たとえばの話、親御さんが麻布高校を出て東京大学に進んで一流企業へと就職した。そういう路線を選んで幸せになったとします。でも、その自分の成功体験を子どもに押し付けたとして、必ずしも子どもが成功するとは限りません。同じように子どもが幸せと感じるとも限りません。
――子どもには子どもの道があるということですね。
そうですね。たとえば俊幸の場合、中学に上がる際にヴェルディに行くか、マリノスに行くか、FC東京に行くか。高校だったらクラブチームに行くのか、高校に行くのか。高校を卒業したとき、大学に行くのか、プロに行くのか、それとも海外に行くのか、社会人チームに入るのか。年齢を重ねれば重ねるほど、人生の選択肢は増えていきますが、そうした岐路に立つまでに、日ごろから子どもとちゃんと話しておくこと。岐路に立ったときだけ、親が関与してうまく道を作るということは難しいでしょう。しっかりと親子の歴史を積み上げていくことが、大切なことだと思いますね。
――年齢的には何歳くらいから将来について話し合いましたか。
幼稚園に上がるころから、将来はどんな人間になりたいのか、夢を語り合ってきました。でも夢を実現させるためには、いくつもの壁やプレッシャーを押しのけなければいけません。また、自分で決めたら自分で責任を取る。その責任の重さが、成功への道だと思っていますから、そのこともずっと問いかけてきました。
――サッカー選手になりたいという夢をそれぞれ持ち始めたのはいつ頃でしょうか。
小学校に上がる頃には、3人ともプロになりたいと言っていました。でも最初はキャッチボールをしたり、遊びのなかで野球もしてました。でもサッカーに比べて野球は難しいのか、なかなか幼稚園生がすぐに楽しめない。それに引き換え、サッカーは走ってボールが蹴れればすぐに楽しめる。それで野球よりもサッカーの方にのめり込んでしまって……気づいたら(野球に)帰って来なくなってしまいました(苦笑)。
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