考える力
2015年11月27日
スカウトしたくなる子どもの父親は、後ろから見守るスタンスを崩さない
■子どもに干渉しすぎないように努める父親の落とし穴
この“見守る”という距離感は非常に難しいものです。興津さんはご自身の経験から、こんなエピソードを教えてくれました。
「私の息子が小学生の頃のことです。サッカー選手の親御さんと接してきた経験から、『自分の子どものサッカーに口を出すのはやめよう』と決めていました。練習会場への送迎はしても、プレーはあえて見ないようにしていたのです。もし見てしまうと、自分の性格上、口出しをしたくなってしまうからなのですが、あるとき息子をよく知る人から『興津さんの息子さんが“ぼくのお父さんはぼくのサッカーに興味がないみたい”って、悲しそうな顔で言ってたよ』と教えられました」
興津さんとしては、子どもにプレッシャーをかけないように、あえて見ないようにしていたのが、裏目に出てしまったのです。その結果、「自分に興味が無いんだ」と子どもに誤解されてしまったようなのです。
「その一件があってからは、子どもの試合はできるかぎり見るようにしました。そして、時間を見つけては二人で銭湯に行き、男と男の裸の付き合いの中で色々な話をして、コミュニケーションをとるようにしました。もちろん、話の内容はサッカーのダメ出しなどではなく、練習でこんなことがあったとか、学校での出来事とか、他愛のない話です。そうやってコミュニケーションをとり、“いつも見ているよ”というスタンスをとるように心がけました」
■近すぎてもダメ、遠すぎてもダメ! 大切なのは適切な距離間
どの程度の距離感で、子どもをサポートすればいいか。そこに正解はありません。手をかけ過ぎることと、放任になってしまうこと。そのバランスをとることは、すごくむずかしいもの。そこで、興津さんはこんなアドバイスをくれました。
「子どもの成長とともに、コミュニケーションの方法や距離感は変わっていくもの。どんなときにも放任にならずに、お互いの環境や状態にあったコミュニケーションのとり方を探しながら、関わっていくことが大切だと思います」
次回の更新では「母親のサポートの仕方」について、話をうかがいます。そちらもお楽しみに。
興津大三(おきつ・だいぞう)
兵庫県淡路島出身。清水商業→筑波大学→清水エスパルス→セレッソ大阪。現役引退後、滝川第二高校のコーチ、清水エスパルス・スクールコーチを経て、選手スカウトの道へ。岡崎慎司、岩下敬輔、兵働昭弘、藤本淳吾、平岡康裕、青山直晃、大前元紀、本田拓也など、数多くのタレントの獲得に携わる。昨年よりアーセナルサッカースクール市川のゼネラル・マネージャーに就任。
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