考える力
2016年1月19日
子どもの「コーチはこう言ってたよ」にどう答える!? 世界のビッグクラブは子どもの意見を尊重する
■私生活で自分をコントロールすることがサッカーのプレーにも活きる
その他にも、生活面でお父さんお母さんから問いかけることが必要だと話します。
「われわれの場合、日曜日の終わりに翌週の大まかなスケジュールを伝えます。その真意は1週間のスケジュールを週初めに伝えておくことで、火曜日の練習はこうだからこういう準備を月曜日にしておく。木曜日はハードだから火曜日からコンディションを整えよう。前日に聞いて準備させていくのではなく1週間というスケジュールのなかで自分でコントロールして生活リズムをオーガナイズさせることを意識づけます。これは生活面での自分のコントロールに対しても有効ですし、サッカーの試合においても1試合を通しての試合の流れをコントロールすることを覚えさせていくことに繋がっていきます」
なるほど。目の前にある言われたことをこなすことも大事ですが、試合においては局面局面だけではなく、試合全体を通しての状況判断も養っていくことが必要です。
たしかに強豪国、優れたプレーヤーになればなるほど、ここぞというタイミングで抜群の集中力を発揮しています。
この能力を養うには、日々の“生活面でのオーガナイズ”ができているからこそついてくるものです。
■子ども自身の身の周りの世話を、親はどこまでみるべきか
お父さんお母さんのもうひとつの役割は、いろいろとアドバイスをすることではなく、ポジティブな答えに導いてあげることではないでしょうか。子ども自身がコントロールすべきことに対して、どれだけ介入すれば良いかはデリケートな部分であるのは間違いない。サムは自身の経験からも、次のように対応するようにしています。
「私にも子どもがいる。もし子どもが『ドルトムントの試合を観に行きたい!!』と言えばもちろん行きます(注)。シャルケとドルトムントはライバル同士でも、私から子どもに『シャルケの試合を観に行こう』とは言わない。子どもの意見を聞く前から自分の意見を伝えるのではなく、まずは子どもの意見を尊重してあげるように心がける。お父さんお母さんのなかには『あのコーチはいつもああ言っているけど気にするな』などネガティブな発言をしてしまう人がいる。すると子どもはどの意見を聞けばいいのか迷ってしまいます。子どもに対しての答えは、つねに中立であるように心がけましょう。そうすればサッカーが今よりもっと好きになる。今以上に向上心が芽生える。周りの子たちとの競争意識も高まる。これだけの環境が整えば上手くならないはずがない。日本のお父さんお母さんも是非向き合ってみてください」
サッカーをしたくないなら「なぜ、サッカーしたくないんだ? 上手くならないぞ」とネガティブにもっていくのではなく、無理強いせずに「そんな日もあるよね。今日はサッカーを忘れてスイッチオフにして、明日からまた考えればいいんじゃない?」などポジティブなやり取りを心がけてあげること。オンとオフの切り替えを大事に、さらに自分で判断できるようにお父さんお母さんがサポートしているからこそ、選手が安心してサッカーに打ち込める環境が整うではないでしょうか。
そのオープンな環境こそが、数々の優秀な選手を輩出する育成術の正体なのかもしれません。
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