考える力
2016年3月18日
慶應義塾大学ソッカー部最大の武器"集中力"は、文武両道によって育まれる
前編ではチームの特色である“学生の主体性を育む”という慶応義塾大学ソッカー部の指導方針について触れました。後編となる今回は、慶応義塾大学の学生が持つ特色と一番の武器である“集中力”にフォーカスしていきます。
関東大学サッカーリーグ1部に所属し、今年は優勝候補としても上げられる慶応ソッカー部ですが、他の強豪校とは異なり、スポーツ推薦という枠をとっておりません。AO入試を経て名門高校出身の選手が入ってきたり、前編でも名前が上がった武藤嘉紀選手のように指定校推薦で進学をしてきたり、という形でこの大学の門をくぐります。もちろん、一般入試で入学をする学生もいます。そんなスポーツに特化した推薦枠を取らない慶応義塾大学ですが、それでも大学サッカーにおける強豪校・名門校であり続けるには理由があります。(取材・文 竹中玲央奈)
■慶應ソッカー部、一番の武器は“集中力”
「慶応ソッカー部の子たちはみんな受験して入ってきます。AO入試のケースもありますが結局は入試。もちろん塾高(慶應義塾高等学校)から来る子たちもいますが、付属校から来る子たちもどこかで受験を経験していて、文武両道を意識して過ごしてきています。そういう子たちは、なんといっても“集中力”がストロングポイントです。時間のない中で勉強もサッカーもやってきたんです」
文武両道を当たり前のように実践してきた学生が多く、それゆえに養われた集中力が、彼らの最大の武器。これを活かすために、須田監督が決めていることがあります。それは、“練習は2時間以内で終わらせる”ことです。
「練習は2時間しかやりません。ただ、選手には『その代わり全力でやってくれ』『その場で上手くなるように、猛烈にチャレンジしてくれ』と言っています。そういう短期で集中するスタンスのほうがいいと思っています」
須田監督が選手たちに関わる時間は、24時間ある中でこの2時間だけです。生活面についてはノータッチで「管理をする気はない」とぴしゃり。その理由は「2時間の練習の中に、残りの22時間をどう過ごしているかが出るから」と言います。そういう認識があるからこそ、この2時間にすべてを注ぎます。
■家でダラダラしている選手は、2時間のトレーニングでもいいプレーができない
ただし、残りの22時間に対してのアドバイスがひとつだけあるそうです。
「練習以外の時間について、体の手入れだったり、ウェイトトレーニングだったりは本人たちに任せています。でも、食事や寝る時間を除いてもまだまだ時間はありますよ。そこに関して『われわれは文武両道だから、試験前じゃなくても勉強をしたり、教養を磨いたり、語学をやっておきなさい』と言っています。英語はマストでもう1カ国語できるといいです。ドイツサッカーが好きならドイツ語、スペインサッカーが好きならスペイン語にチャレンジすることを薦めます。家でだらだらしていたり、疲れたから寝ているだけの子は2時間のトレーニングでいいプレーができません。もちろん、昼寝をすることがいけないわけではありません。1時間弱の昼寝は効率的です。それからボーっとテレビを見ていても頭が回転しない。寝ているときは無理だとしても『とにかく、起きているときは頭を動かせ』と言っています。結局、サッカーはとにかく頭を動かすことが重要ですから。普段、頭を動かしていないといざピッチでそういう状況になっても、考えられないものです。だから、普段もつねに“Thinking”。勉強をすることは大切なことなんだと、ぼくはそう思います」
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