考える力
2016年5月12日
親が子どもの危機を排除すると、子ども自身の危機を察知・解決する力が身につかない
■社会で生きていく力はサッカーで身につけられる
祖母井さんはそうした情報や危機のキャッチの仕方も「サッカーの指導を通して教えていくことができる」と言います。
「人間というのは1人では生きていけません。2人でも生きていけない。3人、4人、5人、11人という集団で生きていく。そういうチームワークはサッカーなどのチームスポーツから学ぶことができますし、コーチというのはそういうものを練習の中で教えていかなければいけません。例えば、今熊本を中心に九州地方で起こっているような地震のように、今の世の中では明日に何が起こるかわかりません。そうした中で国や大人からのアドバイスも大事ですが、それが100%ではありません。実際、熊本では『ここに避難しなさい』と言われて避難をして亡くなっている人もいるわけです」
こうした祖母井さんの言葉を聞けば、オシムさんの指導を「世の中の先取り」と評した理由もわかります。旧ユーゴスラビア出身で戦争(内戦)を経験したオシムさんはサッカーの技術や戦術を教えるのみならず、人としての生き方、あり方を気づかせることのできるコーチであり、サッカーというスポーツには世の中や社会の仕組みを学ぶことのできる教育的価値があるということなのではないでしょうか。
日本人GMの第一人者として国内外のプロクラブで働いてきた祖母井さんは現在、プロサッカーの世界からは離れていますが、サッカーやスポーツの持つ価値を教育や社会の中で見出し、GM時代同様にサッカーを通じた人材育成、社会貢献、そしてJリーグの基本理念にある地域密着を実現させようと積極的に活動されています。
サッカー少年の子育てに役立つ最新記事が届く!サカイクメルマガに登録しよう!