考える力

2016年6月14日

「サッカーを教えていませんか? だから、うまくならないんです」川崎フロンターレ風間八宏監督に学ぶサッカー少年の育て方

 

■親も一緒に楽しめればいい

風間監督が中学生のときに、欧州遠征のメンバーに落選してしまったことがありました。その際、監督が落選にショックを受けたと感じたお母さんは、当時の価格で20万円ほどするステレオを買い与えてあげたのです。ところが、その後にくり上がりで欧州遠征のメンバーに入ることになりました。ただし、必要な費用は50万円。
 
「母が”行きたいかどうか”を聞いてきたので、わたしは「いや、(行かなくて)いい」と答えました。すると母は『答えになってない。わたしが聞いているのは行きたいか行きたくないか』だと。わたしは『行きたい』と答えました。次の日、母は50万円を持ってきて『いつまでも自分の好きなことをやるのに人の金を使うな』と言ったんです。すごく大変なことですよ。でも、やっぱりそこは自分の中ではお金に変えられないもので、50万の価値ではないものをもらったんです。わたしが母だったら、わたしにお金は出せなかったと思うんですけどね(笑)」
 
風間監督は、さらにつづけます。
 
「わたしはこの遠征で見たことが、その先の道標になっていることは間違いないと思っています。見たこともないきれいなグラウンド、大きな相手、食べたことのない食事、言葉が通じない世界。それでも、サッカーというスポーツで戦え、つながることができる。まだまだ柔軟な少年の心に、大きな影響を与えてくれました。後にドイツにいったのもそのおかげだと思います。だから、わたしの子どもたちにも同じような経験をしてほしいと思っていました。そこでサンフレッチェを辞めてドイツへ渡る時には、家族全員で行きました。娘は地元の小学校に、長男は地元の幼稚園に入れたのですが、特に小学3年生だった長女は最初はとても怖がっていました。言葉の分からない世界に突然飛び込まなければならなかったのですが、その経験はものすごく大きかったと今でも言いますね。その後、息子は海外にサッカーの経験を積みに行き、娘は海外の大学に入って自分の好きな勉強をしてきました。彼らの頭の中の世界は、わたしが思っていたよりも広がっていたのかもしれません」
 
サッカーに限らず、子どもの能力というのは大人が想像する以上のものを生み出します。それを期待し、応援する姿勢の重要性を風間監督は強く感じています。そして、こう続けます。
 
「親も一緒に楽しめればいいな」
 
子どもが成長するためには”共に楽しむ”こと。では、どのようにしてその状況をつくっていくのでしょうか? 後編では、風間監督が自ら監修を行うトラウムトレーニングや、大学サッカー部の監督時代の指導経験から紐解かれた”サッカーを通じた親子のあるべき姿”に迫っていきます。
 
「子どものサッカーの試合はレアル対バルサより楽しいかもしれない」川崎フロンターレ風間八宏監督は"子育てを楽しむ">>
 

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