考える力
2017年8月18日
サッカーが上手くなるためのビデオ映像の使い方 スペインのトレンドは......
■プレー分析に必要な3要素
ちなみに、坪井さんはプレー分析をするにあたり、「感覚(体験・感情)」、「聴覚(論理性)」、「視覚(図・映像)」の3つの要素を考えながら選手にフィードバックを行うといいます。
「人間はこの3つの要素から情報を得ます。中でもプロ選手、プロになるような選手はこの3つの要素の中で感覚に優れています。イメージが豊富だったり、こちらがアドバイスしたことをすぐに表現してしまいます。専門的に言うと脳のイメージした動きが神経を伝ってすぐに筋肉がムーブメントを起こしてプレーで表現ができるようのです。このようにして、プロになるほどの選手は優れた感覚を持っていることが多いです。しかし、こちらが質問をした時には、それまでの人生において論理性(聴覚)の分野が刺激されていないことが多く、持っているイメージが言語化されて戻ってこないケースも多いです」
坪井さんによる映像を用いたプレー分析によって実際にあるJ1のプロ選手はプレーの再現性が高まり、感覚頼りでプレーしてきた高校、大学時代とは見違えるほど論理的にサッカーを理解するようになり、入団2年目にしてJ1で優勝を狙えるクラブでコンスタントに出場機会を得る一歩手前まできています。
■上手ければ試合に出られるわけではない。サッカーを通じて社会で生きるために身につけてほしい能力とは
最後に坪井さんは、映像の使い方からは少し脱線するものの「チームにはヒエラルキー(階級)が存在します」という聞き慣れない話しをしました。
「プロを含めてサッカー選手は『サッカーが上手ければ試合に出られる』と思っていますが、そうではありません。試合に出場できる選手というのは、監督が『チームの中で機能する』と考えるから使われます。例えば、テクニック的にすごく上手い選手だったり、身体能力がものすごく優れていても、それがチームの機能の中に『フィットしない』と監督が判断すれば使われません」
バルセロナのメッシ、レアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドをイメージしてもらえればわかりやすいですが、彼らはチームの「絶対的な中心選手」です。バルサ、レアルでプレーする選手は誰もが「上手い選手」ですが、レギュラーとして活躍するためには中心の彼らと「組める」選手でなければいけないのです。
「プロレベルになると、サッカーチームというのは軸になる選手を中心に動いています。だから、その選手を見つけて、しっかりと人間関係を作る必要があります。何も『中心選手にごまをすりなさい』と言っているのではなく、中心選手と組むことで自分の良さが活きてくる、レギュラーに近くなるということなのです。これはサッカー選手に限らず、社会や組織の中で仕事をする上で共通することだと思いますので、サッカーを通じて身に付けてもらいたい能力の一つです」
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