考える力
2017年9月 1日
相手の特徴を見てサッカーをする経験を積むと課題修正力が身につく! リーグ戦のメリット
アーセナルサッカースクール市川の代表を務め、サッカーコンサルタントとして活動する幸野健一さん。サカイクではこれまで、幸野さんが考える育成年代のあり方について、提言を紹介してきました。
2年前に掲載し、反響を呼んだ『育成年代のリーグ戦化』の記事(トーナメントは必要ない!? リーグ戦が子どもを成長させる理由)に注目すると、ここ数年でジュニア年代のリーグ戦化が進み始めています。今回はその背景を伺いました。(取材・文:鈴木智之)
(写真は少年サッカーのイメージです)
■ジュニア年代でのリーグ戦が重要なワケ
日々、指導現場に立つ一方で、U-11年代のプレミアリーグ(全13都県で開催)の責任者を務める幸野さんは「育成年代のリーグ戦化は進んでいますが、形式的にリーグという形を取り入れているだけで、本当にリーグ戦の重要性について理解している人が少ないのが現状です」と語ります。
そこでもう一度、「なぜ育成年代にリーグ戦が必要なのか」を振り返ってみましょう。その理由を、幸野さんは次のように挙げます。
・毎週末、レベルの合った相手と真剣勝負ができる
・1シーズンのうち、ホームとアウェイで同じ相手と2回対戦ができる
・年間を通したリーグ戦を行うことで、年間スケジュールを決めやすくなる
ここまで読んだ人の中には、「あれ、どこかで聞いたことがあるぞ」と思う人もいるかもしれません。それもそのはず、ここに挙げた3つの理由は、Jリーグなど大人のサッカーでは、当たり前のように行われていることです。
JリーグはJ1をトップに、実力に合ったチーム同士が同じカテゴリーに存在し、年に2回ホームとアウェイで対戦します。試合は3月から11、12月まであり、1月、2月はオフです。
「これは日本だけの特別なルールではなく、開催時期こそ違うものの、ヨーロッパを始め、多くの国で取り入れられているレギュレーションです」
「ほとんどの欧州の強豪国はプロリーグと同じ時期に同じような形式で、育成年代のリーグ戦が行われています。これが何を意味するのか。サッカーの100年を越える歴史のある国の人々が、試行錯誤を重ねた結果、この方式がもっとも育成に効果があると考えているわけですよね」
「でも、日本の育成年代は違います。トーナメントや単発の試合が大半を占めています。Jリーグなど大人の大会ではできて、育成年代(18歳以下)でなぜそれができないのか。率直に疑問に思います」
■相手を分析、見つかった課題を修正する機会が選手を成長させる
幸野さんは「現状の育成年代は、トーナメント方式の『負ければ終わり』の大会か、招待大会などの1~3日程度の短期決戦が多く、腰を据えてトレーニングや強化のサイクルを回すことのできる大会が少ない」と言います。
「年間を通したリーグ戦をすると、ホームとアウェイで同じ相手と2回対戦します。そこで選手も指導者も、1度目の対戦を踏まえて『あのときはあの選手のこのプレーで失点してしまったので、次はやられないようにしよう』と、試合に向けたトレーニングで修正しますよね。でも、現状のトーナメントや短期決戦の試合だと、同じ相手と2度と試合をしないことも多いので、対策の立てようも準備のしようもありません」
「私が代表を務めるアーセナルSS市川では試合の映像を撮影し、分析を担当するコーチもいますが、何度となく『もう、この相手と試合をすることはないので、分析してもあまり意味が無いのでは』という話になります」
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