考える力
2018年4月19日
サッカー少年少女にもある「10歳の壁」。伸びない子は親を見ればわかる!?/花まる学習会代表・高濱正伸
■伸びる子、伸びない子は母親を見ればわかる!?
指導者の質以上に、子どもたちに影響を与えていると高濱さんが指摘するのは、子どもたちの身近にいる大人、もっとも一緒にいる時間の長い保護者の存在です。すでにお話しした10歳の壁を意識した話し方はもちろん、普段の会話にも気をつけなればいけない点が数多く潜んでいるようです。
(「見える力」「詰める力」をつけるにはコーチングの質、家庭での普段の会話も大事 ※写真はサカイクキャンプ)
「その子が伸びるかどうかは母親を見ればだいたいわかります。親子の会話で『今日はどうだったの?』と親が聞いたとします。伸びる子は、親が聞いたことに答えて、会話が成立します。一方、難しいなと思う子の会話は『どうだったの?』『っていうか、腹減った』という具合です」
この「っていうか」が大問題。こういう親子の会話はだいたい「お腹が減ったの? あ、私も買い物忘れた」のような、つながりのない会話になるといいます。
「聞いたことに答える会話がキャッチボールなら、答えていないのは玉入れですよね。お互いに好きに玉を投げているだけです。子どもが答えない場合は『聞いているんだから答えなさい』というべきですよね」
「会話のキャッチボールが大切」、よく聞くフレーズですが、好き勝手にいいたいことだけをいいあっている「玉入れ状態」では会話は成立せず、思考力も発想力も養えないというのは納得です。
■サッカー、スポーツを続けることで得られる物の価値
「コーチングの仕方さえ考えれば、スポーツには『メシを食うために』必要な要素がすべて揃っています。大会に向けてゴールを設定するというのは『詰める力』を身につける上では悪くありませんが、勝つためだけにスポーツをやっていたら、ついていけなかった子、負けてしまった子はスポーツから離れていってしまいます。大会が終わってしまったらすぐにやめてしまうなら何のためにやっていたのか? ということになります。一生の役に立てるようにスポーツと上手に付き合っていくこともとても大切ですよね」
講演の終盤、高濱さんがスポーツの効果とともに話してくれたのが、サッカー、スポーツを続けることの重要性です。
どんなスポーツでもやり続けてプロになれる子はほんの一握り。そのことを考えると大切なのは大会の勝敗やセレクション合格などの結果ではなく、サッカーをプレーする経過で何を身につけたかということが意味を持ちます。大人になってもそのスポーツと付き合い続けることではじめて「メシが食える」背中や、芯ができてくると高濱さんはいうのです。
何のためにサッカーをするのか? 正解は人それぞれだと思いますが、やり方さえ間違えなければ、サッカーは人生に役立つ、勉強にも将来にもプラスの効果があるという事実は、楽しみながら、ときには悩みながらサッカーを続ける子どもたちにとっても何よりの朗報なのではないでしょうか。