考える力

2018年5月 9日

孤高の天才、中田英寿がイタリアで活躍できた理由、ハリル監督解任の理由でもある「コミュニケーション」とはいったい何なのか

■正解を求める姿勢が考える力を遠ざける

欧米で講義すると、少しでもおかしいと思えばすぐに学生が手を挙げてくるんです。流れている情報に対して、5W1H(When【いつ】、Where【どこで】、Who【誰が】、What【何を】、Why【なぜ】、How【どのように】)の考え方が常に働いていて、ちょっとでもわからないとすっと手が挙がるんですね。そこで問いかけることでコミュニケーションが一方通行ではなく、双方向に深まっていく。これはサッカーでも同じことで、疑問に思うことを主張できる選手は、意図のあるパスを出せるようになるし、他の人に連動した動きができるようになるのではないでしょうか」

欧米人は子どもの時から、意見を言い合える環境に身を置いています。物事を分析的に考え、自身の意見を主張していかないと、置いてけぼりとなってしまうからです。

「それは教えられたというよりも自然と身に付くもの。そしてその能力は学校教育のなかで、さらに磨きがかけられるのです。試験でも、答えがあるものではなく、自分の考えを求めるものが多い。一方で日本は、ひとつしかない正解を求めるものがほどんどで、自分で考える力を身に付けづらいのです」

もちろんそうした学校教育の方針の違いも日本人がコミュニケーションを不得手とする原因のひとつでしょう。では、子どもたちに考える力を身に付けさせるにはどうすればいいのでしょうか。

後編ではそのポイントについて、三森先生の意見を伺っていきます。

三森ゆりか(さんもり・ゆりか)/つくば言語技術教育研究所所長
東京都出身。上智大学外国語学部ドイツ語学科卒。中高の4年間を旧西ドイツで過ごした経験、および商社勤務時代に海外の人との交渉に立ちあった経験から、言語技術の重要性を痛感。

ドイツ式の言語技術教育システムを参考に独自でカリキュラムを考案し、1990年につくば言語技術教室を開設。その後、つくば言語技術教育研究所に改称。

現在は同研究所の他、日本サッカー協会、日本オリンピック委員会、学校、大学、企業などでも講師を務める。


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