考える力

2018年6月22日

ほんの数日で子どもに変化が! 親から離れて過ごす非日常の体験が「考えて行動する」きっかけになる

■サカイクキャンプで親も子も非日常を体験する

高峯:前田さんのお子さんはもう大きい(20歳、18歳)ですけど、どんな親でしたか?

― 小中の時はサッカー部のスケジュールは全て把握していましたし、子どもの練習や試合の支度もしていました。保護者会の代表もしていて。選手選考に口は出さなかったですが、"うちの子を使ってオーラ"は出していたかも(笑)。いわゆる過干渉な親だったと思います。週末はサッカーの応援のために、他の予定も入れていませんでした。

高峯:子どもは反抗しませんでした?

― 反抗はしなかったのですが、ある時、ふっとこの子は私のものじゃない、って思ったんです。私が支度をする=忘れ物をしたら責任は私にあることになります。それはまずいと。子どもから「母親のせいで試合に出られなかった」とか言われたらいやだなと。そんな責任は取れないと感じたんです。それ以来、自分のことは自分でというスタンスになりましたね。その代わり、彼らの判断には口を出しません。アドバイスを求められたら意見は言いますが、親が結論を出すことはありません。

高峯:親が先回りすることで、子どもの自立はもとより、親子関係にも影響が出る?

― そうだと思います。今、子どもは20歳と18歳ですが、どちらも自分のこれからのことは自分で決めています。報告があるだけなので、少し寂しい気持ちもするけれど、彼らの人生なので。私は私の楽しみに時間を使えますし。サカイクキャンプに参加すると、親子が別々の場所で別々のことをする時間が持てます。そういう時間は親子にとってとても大事だと思うんです。

高峯:3日、4日でも親がいないところで生活することは、子どもにとっては非日常。いつもは親に起こされて、食事は食べるだけ。自分のことも親に頼っている子たちが、自分の判断で生活することはチャレンジなんだと思います。キャンプ中、子どもたちは本当にいい顔をしています。その顔を見たら、親御さんも離れていることに利点があることに気が付いてもらえると思います。

― サカイクキャンプはサッカー技術の向上はもちろん、人として成長する機会だと思います。そして、送り出した親も子どものいない時間を楽しんでほしいですね。子どもと一緒ではいけないレストランに行ったり、激辛料理を食べたり (笑)。夫婦でデートするのもいいと思います。子どものことはサカイクに任せて、自分のために時間を使うことで、帰ってきた子どもが愛おしく感じるんじゃいでしょうか。

高峯:子育てが趣味のようになっている人も多いですよね。子どもに意識が集中していて、親の所有物のようになっていると感じることもあります。しかし、それでは子どもも親の目を気にして委縮してしまいます。

のびのび自由な発想でサッカーを楽しむことが上達の近道ですし、自分で考えることが自立の第一歩です。何度失敗しても良い、何度でもチャレンジできる、サカイクキャンプは子どもたちの自立につながる環境を提供できます。

それに親御さん自身も本を読んだり、ゆっくり映画を見たり自分磨きをする時間はとても大切なはず。サカイクキャンプは親にとっても非日常体験です。子どもと離れて自分の時間を過ごす。そういう使い方をしていただいても、いいのかもしれませんね。

高峯弘樹(たかみね・ひろき)/サカイクキャンプヘッドコーチ
順天堂大学大学院 スポーツ健康科学研究科博士前期課程修了。ケルン体育大学聴講生を経てベガルタ仙台ユース・ジュニアユース監督、大阪学院大学高等学校サッカー部監督(2007年高校選手権 大阪予選準優勝)、神奈川大学サッカー部監督などを歴任。現在はシンキングサッカースクール、サカイクキャンプで子どもたちを指導するほか、セミナー講師などの活動も行っている。

保有ライセンスは日本サッカー協会公認A級ライセンス、ドイツサッカー協会公認B級ライセンス

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