考える力

2018年8月 1日

雄弁でなくてもリーダーシップは発揮できる! 岡崎慎司が滝川第二高校時代に見せた静かなキャプテンシー

■人の意見を素直に聞ける 岡崎選手が持つ柔軟な姿勢は社会でも大事なスキル

「寮が同じ期間があったけど、洗濯物を干さずに放置していたり、サッカー以外の所は拘りがなく、大雑把だった」と振り返るのは、高校時代の同級生で現在は滝川第二高校でコーチを務める藤森大介さんです。私生活では抜けている部分も多かったという岡崎選手ですが、いざサッカーになると別人のように豹変。練習から常にゴールを奪うことを考え、トラップの位置や角度、ゴールに向かうためにはどのように走るべきか試行錯誤していました。

左:岡崎選手の同級生で現在はサッカー部コーチの藤森さん(C)森田将義

藤森さんが岡崎選手の良さとして挙げるのが柔軟な姿勢です。「監督やコーチに言われたことを素直に受け取る選手と、うるさいなと思う選手がいる。自分は後者のタイプだったけど、慎司は色んな大人が言うことを素直に聞くことが出来た。意見を飲みこんでから、工夫して練習に取り組んでいたと思う。一言で言えば謙虚。海外に行ったり代表に入れば天狗になる選手もいると思うのですが、今あっても高校時代とほとんど変わらない」。

また、高校3年生でキャプテンに就任してからは、得点だけでなく、チームのためにという気持ちも一層強くなり、休み時間などピッチ外でも常にチームが良くなるためにはどうすれば良いかを考えていたそうです。決して話すのが上手ではなかったという岡崎選手ですが、「皆が嫌がる走りの練習で常に先頭に立ったり、ダイビングヘッドをして泥まみれになったり、自らの背中を見せて、皆に頑張ろうぜと伝えるタイプだった。ベテランとなった今でも日本代表に必要とされるのはチームのために何をすべきかを考えられるからだと思います」(藤森さん)。こうした姿勢はサッカーというチームスポーツを通じて育まれるもので、社会に出てからも役立つスキルではないでしょうか。

岡崎選手が好きな言葉として挙げる「全力」という言葉は高校時代から変わらないと藤森さんは話します。練習でも試合でも常に全力で監督、コーチが「辞めなさい」と言うまでプレーを続けるのが真骨頂。岡崎選手が代表を務める「Meister SUMA FC」の練習にも反映されており、常に全力でプレーすることを求めています。常に全力で目の前の物事に挑みながらも、人の言葉を素直に受け入れる。岡崎選手の高校時代には、サッカー選手や人を育てるために大事なヒントが隠されているのではないでしょうか。

サカイクが運営している「サカイクキャンプ」では、数日間親元を離れ非日常環境を体験することによって、サッカーの事をより深く自分で考えだすきっかけになります。知らない子ばかりの環境で、親でも所属チームのコーチでもないキャンプのコーチからの指示、問いかけは、案外スッと心に届くものです。

将来いい選手、いい人間になるためにも「ライフスキル」を高めることが大切だということを、保護者のみなさんも心にとどめておいていただければ、お子さんへの接し方も変わってきますし、親子の関係性、信頼がしっかりと築ければ、いつもは「うるさいなー」と不貞腐れる声かけでも、素直に受け止めてくれるようになるものです。

後編では、岡崎選手の恩師でもある黒田和生元監督の指導法、これまで多くの人材を輩出している滝川第二高校の指導理念をお送りします。

後編:多くのJリーガーを輩出する滝川第二の松岡監督流、選手たちを伸ばす距離の取り方>>

松岡徹(まつおか・とおる)/滝川第二高校サッカー部監督

大阪府高槻市出身。滝川第二高で全国高校総体8強入りし東海大へ。高校サッカー選手権第70回大会には主将として出場。左サイドバックとして全国レベルの評価を得ており「ミスター滝川第二」と呼ばれていた。

1999年から恩師・黒田和生氏の下でコーチを始める。2007年からは栫裕保(かこい・ひろやす)前監督に仕え、2010年には全国高校選手権初制覇を経験。

滝川第二高校サッカー部のHPはこちら>>

前へ 1  2

関連する連載記事

関連記事一覧へ

関連記事

関連記事一覧へ