考える力

2022年7月14日

スペイン人指導者が語る日本人選手の良さは「技術」と「練習態度」、一方で世界と比べて欠けているスキルとは?

先日、エコノメソッドの創始者であるダビッド・エルナンデス氏が来日し、奈良県内でサッカークリニックを開きました。ダビッド氏はパリ・サンジェルマンの育成部門でダイレクターを務めた経験を持ち、日本代表の久保建英選手を直接指導するなど、世界で活躍するトップ選手のプレー改善やコンサルティング、指導でサポートを行ってきた人物です。

クリニック後に日本の選手の優れているところや、世界と比べて足りないと感じるものは何かを聞いたので、参考にしてみてください。
(取材・文 貞永晃二)

 


ダビッドさんの指示に真剣に耳を傾ける選手たち

 

<<前編:スペイン人指導者が語る、日本サッカーの良さと海外に比べて足りない力

 

■日本人に足りないのは、「判断」と「サッカーをしっかり考える」部分

――エコノメソッドでは、欧州トップレベルの選手が13歳までに身につけている個人戦術(プレー判断)を徹底指導するという考えを唱っておられますが、日本の選手にはこの個人戦術が不足しているとお考えですか?

ダビッド まず、日本の選手の優れているところとしては、フィジカルと運動能力つまりコーディネーションの部分、そして技術面だと思いますし、さらに練習に対する姿勢も素晴らしいと思います。

ただやはりサッカーをしっかり考えるという点、その判断の部分や考えるという部分でいうと、まだ少し欠けているのかなと思います。自分たちがこのメソッドで大切にしているものを伝えながら、また新しいことも引き続き伝えていければと思っています。

 

■考えさせるためには、ただ問いかけをすれば良いわけではない

――エコノメソッドでは選手にいろいろ考えさせる、問いかけるという方法をとりますが、それに対する選手の反応は日本とスペインで違いがありますか?

ダビッド ただ問いかけをすれば良いわけではなくて、問いかけ、質問するのと同時にコーチは、(プレー面で)"問題を起こさせるように"しないといけないのです。

例えば練習のルールに手をつけた上で、自分たちでどうやってそのルールを守った上で良いプレーをしないといけないかという解決策を持たないといけません。

ただ問いかけるのではなく、例えば練習のルールを計画的に立てた上で、選手がその問題に直面するようにもっていったのちに、コーチが問いかけをする必要があるのです。

世界中で例えばいろんな10歳の子どもたちとトレーニングしてきましたが、プレーの面では本当にどの国もあまり違わないと思います。

本当に積極的にトレーニングする年代だと思いますし、将来が楽しみな年代だと思います。

例えば、日本だと選手たちがすごく教育を重んじられているからか、しっかりこちらの話を聞いて答えることができます。

エコノメソッドでトレーニングをしている中で、今どういった状況が起きているか、どういった状況でプレーしているかというのを理解する。それぞれのシチュエーションでどういう解決策が一番いいかを知る、考える。この考える能力というのが大事なわけです。

 

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■サッカーに対する情熱を持っていることは大事

――サッカーを理解するという点で、日本の子どもたちとスペインの子どもたちを比べると、トップレベルの試合を見ている"量"に大きな差があるんじゃないかと感じるのですが?

ダビッド サッカーの文化というところがそうさせているのだと思うのですが、子どもたちもサッカーのことを自然に考えていると思います。

今回の来日で大阪のスクール、山梨のアメージングアカデミーに行ったり、今回は奈良でいろんな子どもたちを見ましたが、日本の子どもたちもサッカーに対するパッションはすごく持っていると思います。

そういう情熱を持っていることは日本サッカーにはとても大事だと思います。

毎回毎回日本に来ると、日本の選手たちは本当にサッカーが好きだなと感じますからね。


ダビッドさんが感じる、日本人に足りない力「プレー中の判断力」を高めるエコノメソッドキャンプがこの夏開催されます。ゲーム中心の実戦形式のメニューで、オフザボール、ディフェンスなどテーマごとに正しいプレー判断を徹底指導、トレーニングを撮影し、参加選手のプレーを解説する分析型座学"スマートフィールダー"を実施するなど、サッカーへの理解が深まるキャンプですので、ご興味のある方は詳細をご覧ください。

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