考える力

2022年12月11日

サッカーノートを始めたら練習前の準備などピッチ外での行動にも変化が! YF NARATESOROに聞いた選手の成長

近年、チームとしての成績だけでなく、選手育成でも目覚ましい実績を残すのが奈良県にある「YF NARATESORO」。

以前はサッカーノートを書いていましたが、最近は止めていたそうです。

ですが、この秋からサッカーノートを再開。その理由と、現在導入しているノートで子どもたちのサッカーがどう変わったのか、コーチと選手たち自身にお話を伺いました。
(取材・文・写真:森田将義)

 


YF NARATESOROの練習風景 写真:森田将義

 

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■選手自らが考えて行動する選手になるため、サッカーノートを活用

以前は選手にサッカーノートを書いて、提出するようにしていたYF NARATESOROですが、繰り返すうちに書くことがマンネリ化し、ここ数年は書いてもらうのを止めていたそうです。しかし、今年に入ってからは考える習慣を身に付けさせるため、3、4年生の選手でサッカーノートの活用を再開しました。

その理由について、大西晃平コーチはこう話します。

「ここ2、3年で感じることなのですが、今までの子たちと違って、自分で考えて行動している子が少なく、自分のプレーを振り返ることができない。今の子はサッカーの練習が終われば、ゲームをするのが凄く気になっていた部分でした。解決するために何かできないかと思い、週1回月曜日だけでも、サッカーノートを書いて提出するようお願いしました」。

 

■この秋出会ったサッカーノートを始めたら、子どもたちの練習に取り組む姿勢が変わった

当初は市販のノートに練習や試合であったことを書いて貰っていましたが、書く内容は様々。提出して貰ったノートに目を通すと、自分でちゃんと考えてノートを書いている子がいれば、お父さんかお母さんに書きなさいと言われて何となく「今日はシュートが入った」とあったことを適当に書いているだけの子もいたと言います。また、多くの選手が白紙のノートには何を書いて良いか分からないのが、悩みでもありました。

そうした時に出会ったのが、サカイクサッカーノートです。練習前は「前回の学びや発見は何かありましたか?」、「(練習・試合が)終わったときに、どうなっていたら最高ですか?」、練習後は「上手くいったことは何ですか?」といった質問に答えて、振り返りができるのが特徴です。

大西コーチは、「書き続けることによって、子どもたちの練習に取り組む姿勢が変わった。練習を見ると『この子はこういうことを意識しているな』と感じるようになりました。ノートを書く時に今日はどうだったかなと振り返って考える時間が増えたことで、サッカーだけでなく、家の中で何をしなければいけないか気付けるようになった」と選手たちの変化を口にします。

 

サッカーが上手くなる仕掛けがある
サッカーノートの秘密とは

 

■しつもん形式だから書きやすい。振り返りによって、今の課題を見つけられる。

サカイクサッカーノートは選手からも好評です。「項目が分かりやすいから書きやすい。振り返りをすることによって、チャレンジの回数が増えました。今日の練習では、後ろから前にボールを運ぶことをチャレンジしようと思います」と話すのは、川村凪くん(4年生)。

「ノートを書くようになってから、考える時間が増えました。今は前回のプレーを練習前に確認しています。最近は相手を抜くためにどうすれば良いか意識しています」。そう続けるのは、滝川優馬くん(4年生)です。

他にも、こんな声が挙がっていました。「前のサッカーノートより、今のサッカーになってからの方が詳しく書けている。今までは良かったこと、良くなかったことだけを書いていたけど、最近は試合や練習で相手に引っ掛かるので、なんで引っ掛かっているのか理由を書きました」(冬木碧くん、3年生)。

「サカイクサッカーノートは質問になっているので、書きやすい。自分ができなかったことを読み返して、課題を見つけています。練習が始まる前に見直して、プレーでするようにしています」(長岡遥己くん、3年生)。


▼以前のノートは、書式自由で各自自分なりに工夫して書いていた

 

■選手の考えが深く知れるから、指導者の声掛けが変わる


コーチたちも選手の考えが分かり、声掛けが変わったそう 写真:森田将義

 

これまでは選手によって書く量や内容がバラバラでしたが、サカイクサッカーノートを活用し始めてから全員がしっかり一日の取り組みを振り返り、一面にたくさん書いています。中には書き切れなかった内容を元々使っていたサッカーノートに書く選手もいるほどです。

「今までのサッカーノートはシュートが入った、入らなかった。ドリブルを仕掛けて相手に引っ掛かって獲られてしまったといった現象を書くだけで終わっていた。でも、今はどうすれば良いか、明日どんなことにチャレンジしようかという所まで明確になり、成長スピードが上がったと感じました」(大西コーチ)。

サカイクサッカーノートの恩恵を得ているのは、選手だけではありません。コーチも、選手が何を考え、何を意識しているのか明確になったため、ミスをしても課題に取り組んでいると分かれば評価し、前向きな声掛けができるようになったと言います。そうした適切な声掛けができれば、選手のやる気が高まりますし、サッカーがより楽しくなるでしょう。また、目標を記入する欄があるのも特徴で、大西コーチは「選手が書きやすくなったおかげで、子どもたちの考えが色々と知れて良かった」と口にします。

 

▼サカイクサッカーノートでは、練習前の目標を左ページに、振り返りを右ページに書くようになっている。プレーの意図も指導者に伝わりやすくなった

 

サカイクサッカーノートを活用し始めて。まだ1か月ほどですが、「意図したプレーが増えたり、何を考えているのかが分かるプレーが増えてきた」と大西コーチは話します。自主性が少なく、コーチに言われたことだけをやっていた選手のメンタル面にも変化が生まれてきました。今まではグラウンドに着くと携帯電話でゲームをしている選手が多く見られましたが、今は着くなりピッチに出てボールを触る選手が増えました。

また、練習で使う道具が準備できておらず、コーチが声掛けをしてから、動き出す選手が目立ちましたが、今は自分たちが「今日はこれ必要だ」と気付いたり、「何がいりますか?」と聞いてくると言います。

サカイクサッカーノートを上手く活用できれば、考える力が身に付き、プレー以外でも大きく成長できます。みなさんもこれを機に活用してはいかがでしょうか?

 

サッカー少年の親が知っておくべき
「サカイク10か条」とは

 

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