サカイクイベント
2013年9月 6日
スピードは身体の使い方で変わる!【タニラダー講習会レポート②】
「もっと足が速くなりたい」「動きのキレをアップさせたい!」。そう強く願うプレーヤーの要望にお応えし、サカイクは『タニラダー』講習会を実施しました! 後編では「ボールを使った実践的な練習」に落としこむ様子をレポートします。
■スピードアップの鍵は「ひざ」にある!
トレーニングの前半で身体の動かし方のレクチャーを受けた子どもたちは、次にサッカーの試合で頻繁におこなわれる「前方へのダッシュ」の素早い動きを体験していきます。
「初めはラダーを使わずにいくよ。まずはバックステップで後ろに下がり、コーチの合図で前に進もう」
子どもたちは荻原コーチの合図によって、後ろから前へとダッシュを繰り返していきます。しばらく見守っていた荻原コーチから、次のようなアドバイスが飛びました。「後ろに下がって、コーチの合図で前に出る時、地面を蹴る足はどの方向を向いているかな? 進行方向(前方)を向いていると、足を着いたときにひざが曲がって動きが遅くなります。また、重心が後方に流れるので、スムーズな動きができなくなるからね」
荻原コーチはそう言うと、見本となる動きを示します。「蹴り足を外側に向けてみよう。進行方向に対して、45度の角度を保つ。これが『ひざをロックする』という状態です。ひざをロックすると、スムーズに体重移動ができ、地面反力を使って力強く前に進むことができます。」
ひざをロックして前に進む方法を教わった子どもたちは、地面をグッと蹴り、力強く前に進んでいきます。さらにはラダーをつかって、ひざをロックして地面を蹴る動きをトレーニングします。ラダーの長辺部分に立ち、2つのマスを使います。腰をひねって、後ろ、前、前、後ろ、前、前とまるでサンバのステップのように、足を踏み変えていきます。このとき、上半身は正面を向いたまま、下半身だけをひねって動かし、前後にステップを踏むことがポイントです。
■サッカーでは走るコースも重要
さて、ダッシュ時のコツをつかんだところで、お待ちかね、ボールを使ったトレーニングです。子どもたちが2人ずつ並び、コーチが後方からボールを前に転がします。子どもたちはコーチの「ゴー!」の合図でボールを奪い合います。このときに、ただボールを追いかけるのではなく、後ろ足(地面を力強く蹴る方の足)の着き方を意識します。
荻原コーチからは「体に力を入れすぎないように、リラックスしよう」「ボールに向かって走るのではなく、ボールと相手との間に体を入れてみよう」とアドバイスが飛んでいました。サッカーではスピードがなくとも、相手のコースに入ってしまえば、優位にプレーすることができます。初速(ダッシュ)の時点で、最適なコースをとることが重要なのです。
練習を見ていると、スタート時に、子どもたちがコーチの合図で2、3歩下がった状態でボールを出すことで、地面を強く蹴って前方へダッシュする意識が高くなっていました。
■相手に振り切られない「正しい半身の姿勢」
続いてのテーマは「守備の対応」です。相手がドリブルで向かって来るとき、どのような態勢をとると、スムーズに動くことができるでしょうか? 荻原コーチが説明します。「まず、上半身は相手のほうを向けて、下半身は半身の姿勢をとります。両足のつま先は横向き(相手に対して90度)です。相手が左右のどちらかを抜けて行こうとしたときは、腰から下を動かして足を踏み変えます。これをツイストの動きと呼ぶのですが、実際にラダーを使ってトレーニングしましょう」
子どもたちは荻原コーチのお手本通り、ラダーの長辺部分に立ち、右、左、右、左と足を斜め前に出して、リズミカルに踏み変えていきます。足の踏み替えと体重移動がスムーズにできれば、相手がドリブルで突破を図ってきたときにも、動きに無駄がなくついていくことができます。小学生年代でぜひとも身につけたいプレーのひとつです。
子どもたちはラダーでトレーニングをしたあと、2人1組になり、片方が左右いずれかにに抜けて行く動きをし、もう片方が素早く足を踏み変えてついていくという動きを練習します。荻原コーチの「腰を落としすぎないように。重心が低いと無駄な動きが増えるし、足の踏み替えに時間がかかるよ」というアドバイスを聞き、上半身が起きた状態で左右にステップを踏み、動きが形になってきます。
■正しい動きを身に付ければプレーも変わる
最後は横からのルーズボールに対するラインゴールの1対1と4対4+2GKのゲームを行いました。トレーニング中、荻原コーチを始め、アシスタントコーチから「半身を作ってひざをロックしよう」「地面を蹴る足を意識しよう」など、身体の使い方に対するコーチングが飛んでいました。これでおよそ90分のトレーニングは終了。
今回のトレーニングは、身体の使い方を説明し、ラダーで実践。次にボールを使い、動きをマスターするという流れだったので、子どもたちもわかりやすかったようです。見よう見まねで始めながら、すぐにコツをつかんでいたようでした。
ゴールデンエイジの時期に、正しい身体の使い方を身につけることができれば、その後のプレーが変わります。サッカーの動きに最適化した『タニラダー』講習会。参加した子どもたちも大満足の様子でした。
講師:荻原孝俊//
タニラダーメソッドの生みの親である谷真一郎氏の認定を受けた『タニラダー』インストラクター。社会人や大学のアメリカンフットボール、ジャパンサッカーカレッジなどで長年指導者を努め、2013年インターハイでは、女子サッカーで優勝した日ノ本学園のコンディショニングコーチを努めた。
取材・文/鈴木智之、写真/サカイク編集部
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