全日本少年サッカー大会

2011年8月12日

小野剛氏が語る全日本少年サッカー大会

■8人制の産みの親が見る今年の全日本少年サッカー大会

 

小野剛氏は1995年に日本サッカー協会・強化委員に就任以降、代表コーチ、ユースダイレクター、技術委員長などの要職をつとめあげ、日本サッカーの強化のために「ジュニア年代の少人数制サッカー導入」を提唱してきた人物です。

「少人数制導入」の提案から、およそ15年が経過した2011年。U-12の公式戦が8人制になり、全日本少年サッカー大会も8人制で開催されました。そこで、「8人制の産みの親」ともいうべき小野氏に、初の試みとなった8人制の『全日本少年サッカー大会』を振り返ってもらいました。

「8人制の導入により、思った以上にサッカーの質に関して多くのポジティブな現象を見ることができました。たとえば、意図のないロングボールが減り、パスを丁寧につなぐ場面が多く見られました。11人制よりもピッチが狭くなっているので、意図のあるパスが2本、3本とつながれば、シュートチャンスになります。子供たちが「相手のゴールをめがけて、ロングボールを蹴るだけよりもずっと効果的だ」と、肌で感じだしたように感じました。

子供たちは指導者に「こういうサッカーをしなさい」といわれたからといって、素直に実行するとは限らないもの。それよりも、試合を通じて「パスをつないだほうが、チャンスを作りやすい」と感じたら、そのようにプレーします。その辺りの損得には敏感です。そうして、「いいパスを通したい」「自分で突破したい」「シュートを打ちたい」という気持ちを持って、攻守に渡って多くの選手が関わりながらプレーをしていたところに、少人数制の良い面が出ていたと思います。

8人制になったことで、選手一人一人がボールに関わる回数が増えると同時に、プレーに対する責任も増しました。たとえば相手にボールを奪われた場合、すぐに切り替えて守備をしないと、ピンチを招く可能性が高くなります。そのような状況を肌で感じることで、選手たちが「勝つためにどうすればいいか」を考えて、「攻守の切り替えを速くしよう」「スペースに出ていこう」という意識が心の内側から湧き上がり、それがプレーに出ていたことも、ポジティブな変化でした。

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