少年サッカーあるあるお悩み相談室
2016年10月14日
一番の仲良しがチームを辞めてわが子が「ぼくも辞めたい」と言ったら、あなたはどうする?
わが子にとって一番仲のよかった友だちがチームを辞めてしまった。そして、しばらくすると息子が「〇〇が辞めたからぼくも辞めたい」と言ってきました。
親としては想定外の出来事。あれだけ楽しそうにサッカーをやっていた息子がなぜ?
こんなとき親としてはどう対応したらよいのでしょうか。
東京都武蔵野市の強豪町クラブ関前SCを率いて約25年、教え子になでしこジャパンの岩渕真奈選手や多くのJクラブ下部組織でプレーする選手がいる小島洋邦さんに対応策を聞きました。(取材・文 杜乃伍真)
■サッカーは親が無理矢理続けさせるものではない
「子どもが自ら『辞めたい』と言い出すときには色々なケースがあるので一概には言えないのですが、もしも仲のよい友だちが辞めたという理由だけで『辞めたい』と言い出しているのならば、子どもが心からサッカーを好きになれていないのか、あるいは、その所属しているチームに魅力を感じていないのか、といった理由は当然考えられると思います。いずれにしても、本当にサッカーだったりチームだったりが好きになって没頭している子どもであれば、仲のよい友だちが辞めてしまったことで、一時的に元気をなくして迷ってしまうことはあっても、そんなに簡単に『自分も辞める』という選択肢は出てこないと思います」
25年近く少年サッカーに寄り添っている小島さんは「子どもがまだ小さい頃であれば、友だちがサッカーをやっているから一緒にやる、というケースはざらにあるし、最初から自ら進んでサッカーをやり始めるケースは、じつはそんなにないかもしれません。その意味で、小さいときに、仲のいい友だちが辞めると言い出したことが『辞めたい』と言い出す理由になることは結構あります」といい、こう続けます。
「子どもが辞めたいと言ったときに、親としては、そこで立ち止まってしっかりと考えてあげる必要があると思います。仲のいい子どもが辞めたときに、わが子がどうすべきか迷ってしまう、というのはどういうことか。それまで、じつは仲の良い子どもに引っ張られるようにサッカーをやっていたとか、親が習い事のように子どもにサッカーを押し付けていたとか、そういう状況があったとすれば、いざ仲のいい子どもが辞めたときには、『自分も辞める』という選択になるでしょう。そこで親が無理矢理に続けさせるという話ではないと思います。もちろん、チームの指導者から『もうちょっと頑張ってみないか?』という声掛けはあって然るべきだと思います。関前SCにはそれにより辞めるのを踏みとどまり、サッカーである程度の道に進んだ子どももいました」
■子どもが自ら没頭できるものを見つけることが大切
たとえば、仲のいい友だちが新たに野球をやろうとしていて、子どもが一緒に野球をやりたいと言い出しているのであれば、それはそれで全然問題ないと小島さんは言います。
「そこで子どもが今度は野球を心から好きになって没頭できたのであれば、それは必ずその子のためになります。かつて関前SCには、仲の良い友だちに連れられてグラウンドに来ていた子どもがいました。彼は試合に出ると活躍するのですが、どうも練習に身が入らない様子でした。本心を聞き出してみると『ぼくはテニスがやりたい』と。だから、親御さんと相談して一度チームから離れてテニスを勧めてみることにしたのです。すると彼はその後テニスに没頭してその道で成功しました。やはり大事なのは、子どもが自ら没頭できるものを見つけることなのだと思います」
逆にいえば、子どもはすでにサッカーに没頭していて楽しんでいるけれど、仲のいい子どもが辞めてしまって元気がなくなっているとか、帰り道が一人になってしまうことを不安そうにしている、というのであれば、親がしっかりサポートすればいいことです。
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