世界を見てきたコーチが語る。いま求められる守備の指導法

2017年11月27日

「チームの守備コンセプトをしっかり選手に伝える」それが指導者の仕事

スペイン・バルセロナを拠点に、世界中のクラブ、選手の指導&コンサルティングを行っているサッカーサービス。 世界中で指導を行ってきた彼らだからこそ語れる、日本サッカーの課題である「守備」の指導法についての連載です。

第3回目は「プレスの個人戦術」について。サッカーサービスの分析担当であるフランコーチは「チームとしてどうプレスをかけるのか、指導者がしっかり指示することが大切」と語ります。

(この連載は2016年5月に開始したメールマガジン「知のサッカー:守備」の内容を転載したものです)

選手に指示を与えるフランコーチ

第1回>>「日本の選手の多くは守備の仕方をしらない」
第2回>>「バルサの闘将」も学び続けていた『守備における個人戦術』

 

■"プレス"における個人戦術

我々は日本代表の試合から育成年代の試合まで、たくさんの試合を分析しました。そこでひとつ、気がついたことがあります。

「日本の選手は、プレスをかけるべきタイミングを知らないのではないか?」ということです。

もちろん、すべての選手が知らないというわけではなく、理解している選手も少なからずいますが、チームとして「いつ、プレスをかけに行くべきか」というコンセプトが浸透していない印象を受けました。

我々が考える「プレスに行くべきタイミング」とは、「ボール保持者が後ろ(攻撃方向とは反対側)を向いたとき」です。この瞬間、100%の力でボール保持者の元へ近寄り、ボールを奪います。ただし、闇雲にボール保持者に近寄ればいいのかというと、そうではありません。プレスをかける前に認識すべき、重要なコンセプトが3つあります。

 

プレスをかける前に認識すべきコンセプト

●自分の背後のスペースにドリブルで進入されない、あるいはパスを通させないようにするために、背後を見て、ピッチ中央部へのパスコースを消す。

●ピッチ中央部へのパスコースを消すポジションを取り、相手がドリブルを仕掛けてきたところで奪いに行く。

●ボール保持者が後ろ(攻撃方向とは反対側)を向いたときは、ボールを奪うチャンス。100%の力で寄せに行く。

 

守備の局面においても、「認知(状況把握)→決断→プレーの実行」というサイクルがあります。これを絶えず行い、守備時にもっとも相手に使われてはいけない「自分の背後のスペース」に注意を向けながら、ボールを取れそうな瞬間に100%の力で寄せる。これが、プレスにおける、守備の個人戦術です。

 

■指導者に必要なのは"プレス"のコンセプトを明確にすること

ここで紹介したコンセプトを選手個人に理解させた上で、「チームとしてどうやってプレスをかけるか」という指示を出すのが、監督の仕事になります。

このときに、知らなくてはいけないのが「ラインを保ってディフェンスをすること」です。

FWのライン、MFのライン、DFのラインを保つ、すなわちフラットにして、相手選手が進入するスペースを消す。あるいは進入するコースを塞ぎます。これが守備の大前提です。

当然、相手チームはパスを繋いで守備を揺さぶる、もしくはドリブルで侵入してラインを崩そうとしてきます。そのときに、守備の選手は自分の背後のスペースを相手に使われないよう背後に意識を向けつつ、前後左右の選手とバランスをとりながら、選手間にできる隙間(ギャップ)の調整をしなければいけません。

では、どのようにしてギャップを調整し、ライン間のバランスをとればいいのでしょうか?これは選手任せにすることではなく、監督が決めるべき事柄です。

 

次ページ:監督が決めるべき2つのこととは?

 

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