教えて西部さん! 初心者の素朴な疑問に答えたサッカー観戦Q&A

2018年6月 6日

あれだけゴールが大きいのに、シュートが入らないのはなぜ?

息子・娘がサッカーをやっているけど、サッカーのことがよくわからないお父さん・お母さん。

専門書は難しいし、試合を見ているだけでは中々理解が進まない。子どもが好きなサッカーを一緒に楽しみたいんだけど......というあなたにおススメ!

「あんなにゴールが大きいのにシュートが入らないのはなぜ?」
「4-4-2、4-3-3て何の数字?」
「裏ってどこのこと? 表はあるの?」

といった、いかにも素人なザックリとした質問や、予想のななめ上をいく珍問・奇問に、戦術解説の第一人者、西部謙司さんがサッカーの本質を噛み砕いて説明します。

サッカーのどこをどう見れば楽しいか、これを見れば手っ取り早くわかります。

代表の試合やスーパースターのニュースは見るけど、わかりやすいプレーの場面しか理解できない人、サッカー好きと、そうでもない人をつなぐコミュニケーションのヒントに!! ぜひお子さんとも一緒にお楽しみください。


それでは早速質問と回答をどうぞ。


Q.あれだけゴールが大きいのに、シュートが入らないのはなぜですか?

A.足で蹴るからではないでしょうか。


【西部さんの解説】

誰もいないフィールドでゴールを見ると、大きいなあと思います。何でシュートが入らないのか不思議ですよね。プロの選手は子供のころから毎日練習してきているのに、ゴール前10メートル、5メートルのシュートが入らない。

試合になれば相手のDFもいますし、GKも守っていますから、そう簡単には入りません。例えば、Jリーグの練習を見るとわかると思いますが、もの凄い強烈なシュートでも20メートルぐらいの距離からだとGKに防がれます。アマチュアとプロで一番違うのは、たぶんGKの能力だと思います。ほんと、入りませんから。逆に言うと、そんなGKにも防げないコースに打たなければならない。狙いはポストやバーの内側です。ゴールは大きくても、シュートを入れるために狙う場所はピンポイントなんですね。だから枠を外すミスもよくあるわけで。

ちなみに、GKが予測していないタイミングやコースなら、そんなに強いシュートでなくても入ります。完璧にみえるシュートでも防いでしまうプロのGKですが、ミスキックするとあっさり弱いシュートが入っちゃったりします。そういうシュートを狙えば、そんなに精度やスピードがなくてもゴールできますが、それはそれでまた別の難しさがあるわけで。

あと、根本的な理由としてシュートを足で蹴るからかなと。

足を使うのはサッカーなので当たり前ですが、蹴るときはボールを見ますよね。そうするとゴールやGKやDFは見えません。そうすると、蹴りたい場所へしっかり蹴れないミスが出てきます。これはパスも同じ。ハンドボールやバスケットボールは、手でボールを持っています。ボールをつかんでいるのでボールは見ません。目標を見たままでシュートできます。この違いは大きいのではないでしょうか。GKの動きをしっかり見られれば、逆をつくシュートはもっと簡単だと思います。

ヘディングは視線が下がらないので、ゴールやGKをよく見られそうですが、こちらはダイレクトシュートになるので足を使う以上にボールをよく見て合わせないと正確なシュートは打てません。

メッシでもクリスティアーノ・ロナウドでも、シュートの瞬間はしっかりボールを見ています。ボールを全く見ないでキックできればいいのですが、そうはいかない。だからシュートは難しいのだと思います。

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