教えて西部さん! 初心者の素朴な疑問に答えたサッカー観戦Q&A
2018年6月12日
ウイングとかボランチとか、ポジション名が複雑! どうやって覚えればいい?
息子・娘がサッカーをやっているけど、サッカーのことがよくわからないお父さん・お母さん。
専門書は難しいし、試合を見ているだけでは中々理解が進まない。子どもが好きなサッカーを一緒に楽しみたいんだけど......というあなたにおススメ!
「あんなにゴールが大きいのにシュートが入らないのはなぜ?」
「4-4-2、4-3-3て何の数字?」
「裏ってどこのこと? 表はあるの?」
といった、いかにも素人なザックリとした質問や、予想のななめ上をいく珍問・奇問に、戦術解説の第一人者、西部謙司さんがサッカーの本質を噛み砕いて説明します。
サッカーのどこをどう見れば楽しいか、これを見れば手っ取り早くわかります。
代表の試合やスーパースターのニュースは見るけど、わかりやすいプレーの場面しか理解できない人、サッカー好きと、そうでもない人をつなぐコミュニケーションのヒントに!! ぜひお子さんとも一緒にお楽しみください。
それでは早速質問と回答をどうぞ。
Q.つまらない試合の楽しみ方を教えてください。
A.我が子の運動会のつもりで見てください。
【西部さんの解説】
サッカーの試合を見ていても面白くない、つまらないという話をよく聞きます。Jリーグがつまらないとか。残念ながら、それはつまらない試合に当たってしまったのでしょう。面白い試合はあります。ただ、誰が見ても面白い試合は10試合やって2つか3つというところです。要は、7~8割の試合は面白くないし、半分ぐらいはつまらない試合になります。だいたいそんなものです。つまらないと思えば見なくてもいいわけですが、ご質問は「つまらない試合の楽しみ方」ですから、すごく前向きですよね。つまらなくても楽しみたい、これはサッカー観戦の重要なポイントだと思います。
もう、楽しみ方は人それぞれでいろいろあるでしょう。好きな選手をずっと見ていてもいいし、ゴール裏で飛び跳ねていれば試合関係なく楽しいかもしれないし、自分なりにテーマを決めて見てもいいかもしれません。まあ、1つあげるとすれば「我が子の運動会」のつもりで見るという方法があります。
小学校の運動会。あれ、自分の子供が出ていなければ、まず見続けるのはしんどいと思います。子供大好きという人はべつですが、どこかのガキが走っているような競技を見たって面白いわけがない。自分の子供が出ていたり、知っている子が出ているから見る気になるわけです。つまり、個人的な思い入れですね。学芸会も音楽会も球技大会も同じです。逆に言うと、そこに思い入れさえあれば、どんなにつまらないパフォーマンスでも楽しんで見られるわけです。
(C)高田桂
確実なのは、自分の好きなチームを1つ作ってしまって、いろいろと情報も仕入れて、なるべく強い思い入れを持って見ること。そうすると、たとえ試合内容が相当につまらなくてもあんまり気にならなくなります。「なんで、こんなにつまらないんだ!」と、つまらないことに憤りを感じることもできます。まさに、つまらないことを楽しんでいる(というか怒っているのですが)状態ですよね。怒っても悲しんでも、感情さえ動いていれば少なくとも退屈はしないわけで。
こうなってくると、逆にたまに面白い試合に当たると何倍も楽しめます。つまらない試合に慣れる、というかそういう問題じゃない、その境地に至れば、もはや「つまらない試合を楽しむ」を越えて、ありのままにつまらない試合をつまらないものとして淡々と受け入れるという領域に到達するでしょう。「つまらないねぇ」と言いながら、ニコニコと笑っているような達人になれます。とくにオススメはしませんが。