お父さんコーチや少年団にオススメのトレーニング特集

2023年5月19日

松本山雅FCコーチが低学年への指導で実演! 試合で頻出する2対1の場面で使える実践的なスキルを磨く練習法

COACH UNITED ACADEMYでは、指導経験の浅いコーチに向けて、U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中。U-10年代でチャレンジしたい、基礎的なテーマを中心に、経験豊富な指導者によるトレーニングを紹介している。

前回より、松本山雅FCサッカースクール チーフスクールコーチの小林雄太氏による「小学校低学年で身につけておく2対1の理解」をテーマにしたトレーニングを公開中だ。

子どもたちが楽しみながらボールに触れる中で、技術と判断にアプローチし、「周囲と意思を疎通しながらプレーすること」に働きかけるトレーニング。

今回は「ドリブルとパスの2つの選択肢を持つ」「試合で使える2対1の実践的なスキル」をテーマに、低学年で身につけておきたい技術と、状況に応じたプレー選択の力を高めていく。(文・鈴木智之)

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大切なのは相手との距離感とパス出すタイミングと質

サッカーの基礎とも言える、2対1を理解させるためのトレーニング。後編は「2対1ライン突破」からスタート。7m×7mのグリッドで実施し、攻撃2人は守備側にボールを奪われないように、お互いに協力して、守備側の背後にあるライン突破を目指す。

守備側はボールを奪うか、ボールが外に出れば勝ちとなる。その場合、攻撃側のボールを奪われた人、もしくはグリッドの外にボールを出した人が守備に入る。

前回の記事で紹介したトレーニングの前半では、同じ設定で「2対1のハンドパスによるライン突破」を行った。

小林コーチは「最初にやったハンドパスと一緒だよ。選択肢を持ってプレーすることが大事なんだけど、どんな選択肢がありますか?」と質問をし、「ドリブルとパスの選択肢を持って、協力して突破していきましょう」と説明。

子どもたちのプレーを見ながら「パスをすることが相手にわかられると、インターセプトされてしまう。パスをすると見せかけてドリブルだったり、ドリブルと見せかけて相手が来た瞬間にパスを出そう」とアドバイスを送っていく。

さらに「パスを出すときは、味方が突破しやすいところに出してあげること。その優しさが大事」と、デモンストレーションを交えて説明していく。

また、パスがインターセプトされてしまう場面が多いことから「相手との距離を見よう」と声をかけ「相手に近づきすぎてパスを出すと、足に引っかかってしまう。相手を引き付けてパスをするのは良いけど、相手の足との距離を考えよう」と、お手本を見せながら、わかりやすく解説していく。

U-8やU-10年代などは、言葉だけの説明では理解しにくい面もあるので、簡単な言葉を使いながら、デモンストレーションを見せることがポイントだ。

トレーニングの途中から、コーチが浮き球など配球を工夫することで、難易度が上がるとともに、実際の試合に近いシチュエーションになる。このあたりの発展要素も参考になるだろう。

動画では「ワンタッチコントロールで、素早く前にボールを運ぶことの重要性」もデモンストレーションしているので、低学年で身につけておきたい要素に対するアプローチの仕方として、ぜひチェックしてほしい。

パスとドリブルの状況判断ととプレーの連続性が大切

最後の動画は「2対2 セパレート」。縦14m×横7mのグリッドを横半分に分け、各グリッドでライン突破を目指す。各グリッドに守備の選手を1人ずつ配置し、守備側は最初からいるグリッド内のみ動くことができるというルール。

各グリッドは7m×7mと、1つ前のトレーニングと同じなので、慌てずにプレーすることがポイントだ。

小林コーチは、パスを出すと見せかけて、ドリブルで縦に突破した選手のプレーを「ナイス!」と称賛。さらに「守備が2人になったけど、さっきと違うのはなに?」と投げかけ、子どもたちからは「抜いた後にも相手がいること」と答えが返ってくる。

そこで「最初のDFを見ながら、奥のDFも見ないといけない」「最初のボールコントロールが大きくなると、2人目のDFに捕まってしまう。ボールタッチを工夫して、奥のDFを見ながらやろう」とアドバイスを送っていく。

ほかにも、ボール保持者の状況を見て、味方はどの位置に動いてサポートをするのかを、デモンストレーションを交えて伝えていった。

トレーニングの発展として「2人目をかわしてシュートを打つ」を追加。「シュートはサイドのコースをしっかり狙うこと」とアドバイス。

「ゴールを取るために、2対1の局面を突破するんだよ」と話し、シュートを決めることの重要性を伝えていく。

トレーニングの後半では、対戦形式にしたり、時間制限を作ったりと、集中を切らさない工夫がされていた。こちらも、低学年を指導する上で参考になる部分だ。

トレーニング後、小林コーチは「パスとドリブルの使い分けを通じて、駆け引きを楽しみながら、局面を突破する感覚を養うことが大事になります」と、COACH UNITED ACADEMYの読者に向けて、アドバイスを送ってくれた。

動画を通じて、子どもたちが楽しみながらプレーできる雰囲気を作りながら、サッカーに必要な要素を、わかりやすいデモンストレーションを交えて説明している様子は、非常に参考になる。

トレーニングメニューに加えて、オーガナイズの工夫にも目を向け、多くのことを学んでいただければと思う。

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【講師】小林雄太/
長野県松本美須々ヶ丘高等学校から天理大学サッカー部を卒業後、ザスパ草津チャレンジャーズ、バンディオンセ神戸、カマタマーレ讃岐、ヴォルカ鹿児島、FC KAGOSHIMA、鹿児島ユナイテッド、テゲバジャーロ宮崎でプレー。現役引退後、2017年よりカマタマーレ讃岐のジュニアユースにて指導を始め、現在では松本山雅FCサッカースクール・チーフスクールコーチを務める。
日本サッカー協会公認B級ライセンス、バルシューレC級ライセンス。

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