お父さんコーチや少年団にオススメのトレーニング特集

2023年10月22日

指導経験の浅い指導者に知って欲しいドリブルスキルを磨く極意!ボール扱いより、まずは立ち位置を理解する

サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-8~U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。

前回より「運ぶドリブルのクローズドスキルを磨く練習法」をテーマに、ジュニア年代から高校年代まで、多くのチームで技術アドバイザーを務める、小堀一樹コーチによるトレーニングを公開している。

今回は「立ち位置とスピードの変化」「実践的なドリブルスキルを磨く八の字」をテーマに、2つのトレーニングを実施してもらった。

「ボールタッチはなるべく少なく」「ボールを運ぶことよりも、立ち直すことが大事」など、ドリブルを理論化、言語化して教える小堀コーチの指導風景から、たくさんのことを学び取ってほしい。(文・鈴木智之)

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ドリブルは真っ直ぐ進めるようになる事が重要

今回の動画のテーマは「立ち位置とスピードの変化」。小堀コーチは「このトレーニングではコーンをジグザグに配置し、できる限り真っ直ぐ進む練習をします。これは避ける、曲がる、必要がないところでボールを動かすことがないようにするための練習です。このトレーニングでも、最終的なボールタッチのミスには注目しません」と話し、トレーニングがスタートした。

「ドリブル(曲線)」のトレーニングは、下記の設定で実施する。

(1)コーンの間を通って真っ直ぐ進む
(2)ドリブルの移動中にコーンと反対側に立つ
(3)真っ直ぐ通れるコースを狭くする
(4)ドリブルの移動中にコーンと正対する
(5)フリー(緩急をつける)

1つ目の「コーンの間を通って真っ直ぐ進む」では、「コーンを避けるのではなく、真っ直ぐ進む」「大事なのは、目的地に向かって真っ直ぐ進むこと」「視野が斜め下にあるのは、体が起きていない証拠」などのキーワードで、顔上げること、目的地を意識しながらドリブルをするように導いていく。

続く「ドリブルの移動中にコーンと反対側に立つ」では、「自分が左右に動く」「ボールに触らなくていいよ」「できるだけボールタッチを削ろう」といった声かけを実施。ボールではなく、体を動かすことにフォーカスするようにアドバイスしていた。

3つ目の「真っ直ぐ通れるコースを狭くする」は、ドリブルをするコースが狭くなっているのだが「狭いけど、真っ直ぐ通れる。正しく真っ直ぐ運ぶことができれば、試合中、相手のアプローチを怖がることはない」と前置きし、こう続ける。

「相手と3m以上距離があって、相手の足が届かなければ前に進める。前に進んだ上で、フィジカルや駆け引きで相手に詰められて、やりづらいときもあるけど、そのときは判断を変えればいい。まずは真っ直ぐ進むことが大事」

続いてコーン間をさらに狭くし「ゆっくり入ってもいいので、戻るときはスピードを上げて進入する」と付け加え、様々な条件でドリブルをさせていく。

4つ目の「ドリブルの移動中にコーンと正対する」では、「4つあるコーンに、まず正対してから真っ直ぐ(縦に)運ぶ」と説明。「目的地は前なので、良い場所に立ち直してボールを運ぶ。ボールを運ぶことよりも立ち直すことが大事」と、ボールに対して足を運び、どの位置に立つかに言及していった。

途中から「ゆっくりから速く、速くからゆっくりやろう」と、スピードの緩急をつけることを徹底。「上手な選手は100のスピードがあったとして、10から100とか10から70、80、100から20などの変化をつけられる。ボールに触るたびにギアを変えられるといいよね」と声をかけていった。

ドリブルスキルの上達で重要なのは立ち位置

最後の動画は「実践的なドリブルスキルを磨く八の字」。小堀コーチは「曲線的な動きのときに、自分にボールを合わせることができるようにする練習なので、触る回数を限定する等を行い、ボールを触ることが中心とならないように注意して行います」と説明。

以下の設定でドリブルをしていくのだが、前回の動画を踏まえた上で「ボールに対して、立つ位置は9箇所あるけど、どの位置にも立てる人が、ボール扱うことができて、いろんなことができる。ボールに対して、立つ点が多いことが大事。自分がまず位置に立ってからボールを触ること。一生懸命、ボールを触らないようにしよう」とドリブルの極意を伝えていた。

(1)八の字で逆のマーカーまでドリブル
(2)体の向きを横に向けて八の字
(3)前向き→後ろ向き→前向きで八の字
(4)フリードリブルで八の字
(5)必ず歩くドリブルを入れる八の字
(6)目標物を意識した八の字

以上でトレーニングは終了。小堀コーチはCOACH UNITED ACADEMY動画の視聴者に向けて、次のようなメッセージで締めくくった。

「私がボールコントロール(クローズドスキル)や切り取り練習で気を付けていることが3つあります。それが、①ボールを道具として扱うこと。②デメリットを考慮すること。③学びを奪わないことです。向上したい技術のみにフォーカスすればするほど、その状況でしか成立しないプレー(練習は巧いという状態)になりやすいと実感しているので、同じオーガナイズの中で、相手、味方、スペースなどのオプションを加えて、その技術にリンクする別の技術まで含めてトレーニングを展開しています」

その他の、指導の際に参考するポイントは、動画の最後に掲載されているので、トレーニングに興味を持った人は、最後のコメントをぜひ参照していただければと思う。ドリブルを向上させるためのヒントが得られるはずだ。

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【講師】小堀一樹/
埼玉県滑川高校(現滑川総合高等学校)から日本ウェルネススポーツ専門学校に進学、卒業後、
埼玉スタジアムサッカースクールでサッカー指導者のキャリアをスタートし現在は幼児サッカークラブ&正課体育サッカー指導(埼玉県富士見市、銀の鈴サッカークラブ、埼玉県草加市、草加ひまわり幼稚園)、小学生対象サッカースクール(D-styleサッカースクール、JOGADORアカデミー)、中学生サッカークラブ(ESPORTE CLUBE JOGADOR U-15担当コーチ)高校生外部指導員(ふじみ野高校サッカー部技術アドバイザー)とU-6~U-18まで幅広いカテゴリーのサッカー指導を行っている。

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