お父さんコーチや少年団にオススメのトレーニング特集

2024年1月18日

指導歴が浅いコーチでも再現性の高いパス&コントロールの応用!U10で取り組める縦パスを意識したボール回し

サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-8~U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。

前回より、「攻撃方向を意識したパス&コントロール」をテーマに、茨城県つくば市で活動する、ブロッソンフットボールクラブ アカデミーダイレクター兼U15コーチの堀中陽介氏によるトレーニングを公開中。

水戸ホーリーホックや東京ヴェルディといったJクラブのアカデミーを始め、育成年代の幅広い指導経験を持つ堀中氏による、判断を伴うパス&コントロールを身につけるためのトレーニング。わかりやすいコーチングとデモンストレーションは参考になること間違いなしだ。(文・鈴木智之)

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パス&コントロールと判断を同時に磨ける基本トレーニング

最初のトレーニングは「相手を観て縦パスを狙う」というテーマのもと、「ひし形のパス&コントロール」を実施。前回の記事でも同様のトレーニングを行ったが、今回はDFをつけるため、相手を観ることが大切になる。

堀中コーチは「ボールをコントロールした後に顔を上げて、前を見ることで、DFがどこにいるかを認知します。そして、パスコースが空いている方を選択します」とポイントを説明する。

設定としては、選手をひし形に配置し、中央にDFを設置。外側の選手がひし形にパスを回す際、DFはその場にとどまるか、サイドにプレッシャーをかけるか、どちらかの動きをするので、DFのいない方へパスをする。

堀中コーチは「まずは縦パスを狙おう。そこでDFが塞いでいたら、サイドにパスを出そう」とプレーの優先順位を伝えていく。

「攻撃方向を意識したパス&コントロールなので、ボールの置きどころが大切です。縦にもサイドに蹴ることのできる位置にボールを置こう。サイドだけ、縦だけの置きどころになると、DFにパスコースがバレてしまうよ。顔を上げて観て、DFがいない方向にパスを出そう」

前回のトレーニングでも強調したが、パスを受けてスムーズに出すための体の向き、ファーストタッチで斜めの位置に置くこと、足元にボールが入りすぎないことなど、重要なポイントを伝えているので、詳細は動画で確認してほしい。

攻撃方向を意識し、縦パスと横パスを状況により使い分ける

続くトレーニングのテーマは「縦パスを出すコースを作る」。ここでは「4対2+ターゲット」を実施。10m×10mのグリッドで行い、4人でボールを動かしながら、2人のDFに奪われないように、中央にいるターゲットへのパスを狙う。

DFはサークルの上のみ移動可能で、ターゲットはサークル中央から動かない。最初は3タッチ以内で行い、DFは時間で交代する。

堀中コーチはプレーを見守った後、「今日のテーマは何だっけ?」と質問。「攻撃方向を意識したパス&コントロールだよね。このトレーニングは何を目指したい?」と問いかけ、子どもたちから「ターゲットにパスをしたい」という回答を引き出していく。

「DFがターゲットへのパスラインを消していたら、サイドに展開しよう。そのときに、遠い方の足にパスを出すこと。そうするとコントロールしやすいし、ターゲットも見やすいよ。攻撃方向を目指しながら、パスやコントロール、体の向き、ボールの置所を意識しよう」

DFは奪いに来ない、パスコースを消しに来るだけなので、慌てずに味方の遠い方の足へパスを出すことを伝えていった。

途中から「2タッチ以内」に変更。タッチ数が少ないため、ボールを受ける前の準備がポイントになる。

そこで堀中コーチは「その場にとどまってパスを受けて、次の選手にパスを出すのではなく、パスの出し手に近づいたり、離れたりと、ポジショニングを意識してボールを受けると、ターゲットにパスを入れやすい」とアドバイス。

技術と認知、判断にアプローチし、スムーズにパスを出す方法をレクチャーすることで、リズミカルにボールが動くようになっていた。

以上でトレーニングは終了。堀中コーチは子どもたちを集めて、次のように話した。

「今日は、何のトレーニングをしたか覚えていますか? サッカーの試合でまず狙うのは相手のゴールだよね。前に進むために、いま練習しているパスやコントロール、ドリブル、ボールを持ってないときの動きなどがあります」

さらに、こう続ける。

「ゴールに向かうためのプレーはいろいろありますが、まずは前を狙うことを忘れず、そのために、どうすればいいかを判断するのが大事なポイントです。まず前を狙う、ゴールを狙う。だめだったらすぐに判断して、違う選択肢を選ぶ。これからも、そこを意識してプレーしましょう」

今回のトレーニングは、U-8、U-10年代の選手を対象にしたものであり、難易度の設定が絶妙だ。

そのうえで、技術と認知、判断にアプローチできるものなので、ぜひU-8、U-10年代の選手を指導しているコーチはトレーニングに取り入れてほしい。簡単すぎず、難しすぎない設定を通じて、様々な要素を身につけることができるだろう。

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【講師】堀中陽介/
常総学院高校サッカー部コーチで指導者としてのキャリアをスタート。
水戸ホーリーホックスクールコーチ、ジュニアユースコーチを経て、
その後、東京ヴェルディや文教大学体育会サッカー部などでも指導を行い、育成年代での幅広い指導歴を持つ。
現在は、ブロッソンフットボールクラブのアカデミーダイレクター兼U15監督を務めている。

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