お父さんコーチや少年団にオススメのトレーニング特集

2024年5月 2日

日本サッカー協会JFAコーチが実演!U10で取り組めるパスの優先順位とパスを受けるポジショニングを磨く練習法

サッカーの指導を学ぶことができる動画配信サービス「COACH UNITED ACADEMY」では、指導経験の浅いコーチに向けて、U-8~U-10年代を指導する際の参考になる動画を配信中だ。

今回のテーマは、サッカーにおいて必要な「状況判断力」。常に変化する状況に対応し、限られたスペースと時間の中で、素早く正確な判断を下すために、状況判断力を高めていきたい。

状況判断力は、チームプレーを円滑に行うためにも不可欠だ。チームメイトの動きを予測し、パスやサポートを適切なタイミングで行うことで、スムーズなプレーが可能になる。

そこで今回から、栃木県宇都宮市で活動する「リオールスポーツクラブ」で代表を務める、楠本晃義氏による「低学年から身につけたい『状況判断力』を向上させるトレーニング」を紹介したい。

楠本氏は日本代表で活躍する選手をジュニア時代に指導するほか、日本サッカー協会のJFAコーチ、JFAチューターとして、公認ライセンスの講師も務めている。

経験豊富なベテランコーチは、子どもたちの状況判断力を、どのようなトレーニングで高めていくのだろうか?(文・鈴木智之)

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状況に応じた、パスの優先順位とサポートの位置

最初のトレーニングは「状況に応じたサポートとパス&コントロール」。

設定としては、パスを出す選手と受ける選手が正対してスタート。ボールを持っている選手がグラウンダーで前にいる選手にパスを出すので、受けた選手はダイレクトでボールを落とし、背後にあるミニゴールへシュート性のパスを出すことのできる体の向きを作り、リターンパスを受けて、ミニゴールへシュートする。

「大切なのは、パス&コントロールをしっかりやること。パスを正確に出して、ボールをしっかり落とそう。パスが遅かったり、コントロールに時間がかると、次のプレーに影響する。味方の状況を観て、どこで動いたらゴールに最短で行けるかを考えてプレーしよう」

このトレーニングではDFが動かないので、シュートを打つ選手は、自由に動くことができる。

楠本コーチは「ゴールに最短で行くためには、どこでボールを受けたらいいだろう?」と問いかけ、プレーの優先順位として、足元でボールを受けるのはなく、ディフェンスが動いていない状況を認識し、背後に走ってパスを受けることの重要性を伝えていく。

次の設定として「背後にいるDFの選手が、攻撃の選手についていく」という要素を追加。攻撃側はどこのスペースが空いているかを観て、最終ラインをイメージし、オフサイドにならないようにプレーすることがポイントだ。

楠本コーチは「味方がボールを蹴るタイミングと動き出しを合わせないと、オフサイドになってしまう。相手の位置をよく観て、タイミングを合わせよう。ボールから目を離すと、タイミングを失うよ」とアドバイスしていく。

3つ目の設定では「背後にいるDFの選手が、パサーにプレッシャーをかける」という要素を追加。プレスを受けているパサーに対して、パスの受け手はパスを受けられる位置に走り込み、前を向ける体の向きを作り、ボールを受けてシュートに持ち込む。

ここでは、シュートを打つ選手に対して、「落としのパスが遅いと、DFがプレッシャーをかけやすくなる」と指摘。さらに、パサーに対して、「受け手の状況を観て、どちらの足にパスを出した方がいいか」をレクチャーしていた。

また、パサーがシュート役にパスを出す際は、「味方に時間とスペースを与えるために、いいパスを返そう」と声をかけ、「足の面を作り、ヒザ下をコンパクトに振り、ボールの中心を蹴ること」とアドバイス。こちらも実演しているので、動画で確認してほしい。

相手の守備の状況により最適なポジショニングと動き出しを学ぶ

続いてのテーマは「パスの優先順位と状況に応じた動き出し」。ここでは「連続した1対1」を通じて、状況に応じた認知・判断にアプローチしていく。

設定としては、攻撃の1対1が終わったら、役割を変えて守備の1対1をするという流れなので、次々に状況を認知し、ゴールを決める・ボールを奪うために最適な判断のもとにプレーを行っていくことが重要になる。

このトレーニングでは、味方からパスを受けてプレーがスタートする。状況として、1つ前のトレーニングに近いので、味方とタイミングを合わせることや、ゴールに向かう体の向きを作ることを心がけていきたい。

パスの出し手はフリーなので、相手の背後でボール受けた方がシュートに持ち込みやすい。楠本コーチは「相手の状況をよく観て、どこでボール受けるか判断しよう」「パスの出し手は、味方がゴールに向かうために、どちらの足につけたほうがいいかを考えよう」といった声かけを実施。

加えて、シュートの選択肢を持つために、ファーストタッチでゴールを向くことの重要性も伝えていた。

ほかに「受け手の動きに合わせて、点と点でボールが出会うようなパスを出す」というプレーをデモンストレーション。正確でわかりやすい実演をすることで、子どもたちはイメージが湧きやすくなる。ここも参考にしたい部分だ。

最後は「1対1の間合い」をレクチャー。相手に近づきすぎず、自分の間合いで突破を仕掛けることの重要性を伝えていた。

以上で前編のトレーニングは終了。楠本コーチのわかりやすい説明、的確なデモンストレーションは指導の参考になること間違いなしだ。ぜひ動画を繰り返し観て、お手本にしていただければと思う。

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【講師】楠本晃義/
1982年10月17日生まれ。
大学卒業後、川崎フロンターレで指導者キャリアをスタート。現在日本代表で活躍する三苫薫選手や田中碧選手、久保建英選手などをジュニア時代に指導。
30歳の時に栃木SCへ移籍。栃木SCではアカデミーコーチを経て、トップチームのコーチを経験。J2昇格を果たす。
その後、地域の子どもたちの育成とサッカーコーチの養成を行うため、「LIALL GK ACADEMY」「LIALLスポーツクラブ」を設立。
現在は、日本サッカー協会JFAコーチ・栃木県サッカー協会FAコーチも務めている。
JFA公認A級コーチ、JFA公認GK-Level3ライセンス保持

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