蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
2017年1月16日
父は思春期とどう向き合えばよろしいか問題
忙しすぎてサッカーも勉強も「ただやってるだけ」のように見える中学2年生の息子への対応に悩むサッカーパパ。男手ひとつで仕事と家事・炊事に忙殺されながらも、1年後に受験を控えたわが子の「やる気が見えない」ことが心配で何とかしたい親としては、どのように接したらよいのでしょうか?
自身もサッカー少年少女の母として子育てした経験を持つ、教育・スポーツジャーナリストの島沢優子が、読者の悩みに答える『蹴球子育てのツボ』。今回は、思春期の息子さんへの対応に悩むお父さんの質問にお答えします。(文 島沢優子)
<サッカーパパからの相談>
小学3年の時に、母親を病気で亡くし、姉は2年前の大学入学とともに一人暮らし。現在、父親の私と中学2年の息子と二人暮らしです。息子はクラブチームで週2回、塾週3回、土日はサッカーに行っています。
勉強の成績は後ろから数えた方がはやく、サッカーは入部以来、控えが続いています。家では部屋にこもって、ご飯の時だけリビングに来るくらいです。会話は最近どう?って聞いても、別に……ばかり、自ら会話してくることもほとんどありません。
サッカーの練習から帰宅するのは、いつも22時過ぎ。ご飯を一緒に食べて、風呂に入って、寝るのはほとんど12時を過ぎる毎日です。忙しすぎて、勉強もサッカーもどちらも頭の中で整理する間も無く、ただやってるだけのような感じがしています。
私も仕事、炊事洗濯で時間に追われる毎日で、息子のことをよく見れていないような気がします。最近は、どう声をかけたらいいのかもわからないようになってしまっています。来年は受験生ですし、息子のことが心配でたまりません。感情もあまり出さないので、どう、彼のやる気のスイッチを入れるように促したらいいのかも分かりません。
この状態でも、見守るしかないのでしょうか?毎日、悩みます。
息子も、もがいているのかもしれませんが……。
■思春期はプロ野球のスタンド観戦
お父さん、まずはお疲れ様です。中学2年の息子さんを小学3年生から5年間、男手ひとつで育ててこられたのですね。「仕事、炊事洗濯で時間に追われる毎日」なんて、私どもワーキングマザーと同じではありませんか。飛んで参りハグしたいほどです(笑)
冗談はさておき、いただいたメールに気になるフレーズが二つあります。
ひとつめは「忙しすぎて、勉強もサッカーもどちらも頭の中で整理する間も無く、ただやってるだけのような感じがしています」
これはお父さんから見た息子さんの様子ですね。一番近くにいる親の感覚ですから、恐らく憶測は当たっていると思います。よく見ていると、思春期のわが子に悩んでいる多くの親御さんはみなさん「憶測魔」です。
「見てるとこうなんだよね」
「こう考えている気がする」
思春期ですから、それはもう立派なハレモノ。さわると風船のようにパチンと割れてしまいそう。だから、みなさん遠巻きから見ています。基本、放牧でいいのです。もしくは、思春期はプロ野球のスタンド観戦だと思ってください。一生懸命投げているピッチャー(わが子)にヤジは聞こえません。危うく耳に入ると「うるせー」と言われますね?投手の心理はファンにはわかりません。
同じく親も外野観戦なのだから、子どもの内面を「たぶんこうだろう」と決めつけないようにしませんか。決めつけていると、結構な確率で子にバレます。心も血もつながっているのですから。気になるなら、問いかけましょう。
「勉強、サッカーと忙しそうだけど、大丈夫?」
「何かできることあったら言ってね。何かない?」
答えが「別に……」でもいいのです。
「そっか、ないならいいよ。頑張れよ」
このひと言で、息子さんにいろんなことが伝わります。「お父さんは気にしてくれている」「もしかして信じてくれてるのかな」一日おきでも尋ねてみましょう。そのうちに父子の会話ができるかも知れません。
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