蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
2017年2月22日
転勤で環境が変わる息子のケア問題
■親が元気なら、子どもは笑顔でいられる
もうひとつ肝心なのは、サッカーを続ける新しい環境探しですね。まだ小学4年生なので、通える範囲でどんなクラブや少年団があるかのリサーチは大人の役目になります。ここは良い機会なので、どんなクラブに入りたいか、サッカーにどんなふうに取り組んでいきたいかといった展望を尋ねてみる。
彼のサッカーキャリアにとって新天地でのリスタートなので、親子でいろいろな話をしてください。そのうえで、見学に言ったり、練習参加してみたりして、ゆっくり決めればいいのです。
「子どもは適応力が高いといわれるので、案外、転校先にすぐなじめるかもしれません」とお書きになっているように、子どもは新しい環境にあっけないほどサッサと慣れてしまいます。
お子さんを心配されてますが、私はお母さんのほうが大変だろうと推測します。「空巣(からのす)症候群」をご存知でしょうか。本来は、子どもの独立によって家庭が空になった中年の女性に表出しやすい心疾患です。子どもが進学、就職、結婚などで独立すると、空虚感や孤独感を過剰に抱くことが原因だと言われています。
ご相談の方のように、小学生の子どもを連れて転勤したお母さんが、この空巣症候群になってしまったケースをいくつか知っています。ひとりっ子が多く、二人でも下の子はまだ乳幼児で上の小学生でした。
いずれも、小学生の子どもがあっという間に新しい環境に慣れてしまい、自分だけが家の中で孤独感を味わうという状況でした。家族のことばかりにとらわれず、少しずつ落ち着いたら、自分は新天地でどう生きていくのか。そんなことにも少しずつ向かえるよう、心掛けてください。
親が元気なら、子どもは笑顔でいられます。逆もまた然りですが。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。
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