蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
2017年7月19日
「下手くそ」「センスない」コーチの暴言に耐えられない中1の息子を辞めさせていいのか問題
■サッカーを続けるかどうか最終的に決めるのは子ども自身
結論から言うと、それは親が判断することではありません。つまり、サッカーを辞めさせるとか、続けさせるというような親の判断は必要ない。もっといえば、親として子どものために何かしたいと思うなら、息子さんに判断を委ねることです。
「暴言に耐えられず限界」とありますが、息子さんがもし「辞めたい」と言うならば、「じゃあ、辞めていいよ」とすんなり同意してあげてください。練習に行くたびに下手くそと言われ、どんなに頑張ってもほめてもらえないなら、自尊感情が低下しエネルギーを奪われるばかりでしょう。
一方、小学生までAチームだったのにCチームに落ちてしまったショックも多少はあるかもしれません。
そこも含めて、お子さんが気持ちを整理する作業を手伝ってあげてもよいでしょう。
「コーチが嫌なのかな?」
「サッカーまで嫌になったのかな?」
「辞めたら、どこでサッカーするか考えてる?」
会話の中で、お子さんが「お母さんはどう思う?」と尋ねてきたら、ご自分の意見を言っていいと思います。
■子どもの主体的な判断を認める
そのようにして、気持ちの整理を手伝ったとしても、最終的に決めるのは息子さんです。主体的に自分で考えて判断せず「お母さんが辞めたほうがいいと言ったから辞めて違うクラブに移った」ということになってしまうと、移籍先でうまくいかないことが起きると、それを親のせいにしがちです。
もっといえば、サッカーだけにこだわる必要はありません。ほかにやりたいことがあるのなら、その判断を認めてあげてください。
「サッカー一筋で来たんだから最後までやり通せ」という考え方もあるでしょう。それを本人のポリシーで「最後まで僕はやる!」と言うなら良いのですが、嫌々親の言うなりにやっても楽しめないうえに上達もしません。
もし、中学校の部活動でサッカーを続けられるのなら、その部の顧問の先生らがどんな指導をしているのかは見極めてからのほうがよいでしょう。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。
最新刊は、ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)。
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