蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

2018年5月23日

少年団に不満爆発! 保護者は意見を述べてはダメなの問題

■何のための少年団か。子どもにどうなって欲しいのか話し合おう

二つめのアドバイスは、保護者の役目を考え直すことです。

※写真はサカイクキャンプのものです。 質問者及び質問内容とは関係ありません。

「育成の観点からみた場合にも、チームで指導されてないので子どもたちは挨拶もきちんとできない、練習後のグランド整備をしない。(することの意味を教えられていない)練習に対する子どもたちの姿勢がよくない、だらだら練習をする。など、資質においても目に余ることばかり」とあります。

みなさんにとってサッカーは、礼儀を学ばせる場所ですか?真面目にやることを教えてもらう場所ですか?
私は違うと思います。

日常のあいさつの習慣は親の責任です。コーチは親しみを持って「よう!元気?」と言い合える空気さえ作ればいいと思います。グラウンド整備の必要性はコーチが教えてもらうとして、サッカーは真面目にやるというよりも楽しくやるものです。楽しくやるには全力でやらなくてはいけません。手を抜けば、チームが楽しくなりません。
(そのあたりは高橋正紀先生の連載「楽しまなければ勝てない~世界と闘う"こころ"のつくりかた」を参考にしてください)

なんのための少年団であるか。
そこをみなさんで話し合ってください。
勝つための少年団ですか?
上手くなって誰かをプロにするための少年団ですか?
グラウンドに来たときだけ礼儀正しくして、それ以外で会っても知らんぷりしてもいいですか?

親御さんたちがご自分だけの価値観だけで考えず、多様性を持って考えを広げて「子どものための少年団」をつくられることを心から願っています。

島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。
最新刊は、ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)。
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