蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

2018年5月30日

サッカーやめたい息子。自分でチームに言わせるべきか問題

■子どもは、問われると考えだす

ここで、ご相談に戻りましょう。

※写真はサカイクキャンプのものです。 質問者及び質問内容とは関係ありません。


とにもかくにも、相談者様はこれからも「子どもが自発的であるかどうか」を子育ての大きな物差し(価値観)にして、お子さんに寄り添ってあげてください。

その意味で、サッカーをやめることを監督やコーチに告げることについても、「君はどうしたい? どうすればいいと思う?」とお子さんに尋ねてみてください。「お母さんはどう思う?」と意見を求められれば、ご相談のメールに書かれていたように「やめるなら自分の言葉に責任を持ち、ケジメを(つけることを)覚えてもらいたい」と話せばよいかと思います。

ただし、まだ小学生なのだから、親御さんが一緒について行ってあげていいと思います。

ちなみに、私の場合を。ケースが違うので何とも言えませんが、最初は母親ひとりで行きました。

長男は小学校低学年のころ、サッカーとバスケットボールを一時期一緒にやっていました。ところが、バスケットクラブのコーチは子どもたちを叩くため、息子は恐れおののいてしまい「もう行きたくない」と言い出しました。

ミニバスケットに暴力があることを知った私はそれは当然だと思い「二度と体育館に行かなくていい」と息子に告げ、私が退会する旨を話しに行きました。すると、監督さんが「父母会に報告して」と言うので、父母会長さんに告げたら「お世話になったのに、子どもに言わせず親が言いに来るなんて過保護だ」と言うわけです。

体罰を目の前で見せられたのに、お世話になった? と疑問に思いましたが、相手の話にも一理あると感じ、息子を一緒に連れていきました。

別れ際、監督さんに「サッカーは甘いから、もっと厳しい世界も見せたほうがいいですよ」と言われましたが、私は返事もしませんでした。10数年前の話です。

彼らはいま、アメフトの悪質タックル問題をどうみているのでしょうか。監督やコーチのパワハラによって思考停止させられた日大アメフト部員のことです。彼らが、自分で判断できなかったのは大学でのパワハラだけが問題なのかと疑問です。

最後に若干話がそれましたが、「サッカーの次は何をやるの?」と問いかけてください。
人は、問われると考え始めます。

島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。
最新刊は、ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)。
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