蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
2018年7月25日
土日も連休も丸つぶれなのに... わが子が試合に出られないと親が報われないぜ問題
■楽しんでいるならそれで良し。ゆるっと寄り添いましょう
では、その2極化の現状で、親はどうするか。そのために見直してほしいことが二つあります。
※写真はU-12ワールドチャレンジ2017のものです。 質問者及び質問内容とは関係ありません。
ひとつは、今のチームを見直すこと。
所属するところは、もしかしたらお子さんにはハードルが高いチームなのかもしれません。「週4日、各日とも3時間以上の練習」も、9歳、小学3~4年生にはハードすぎます。というか、中学生でも全体練習は1時間半から2時間ほどで十分です。
もうひとつは、「子育ての軸」を見直すこと。
「そもそもサッカー自体向いてない」のか、「方向転換したほうがいい」のかは、息子さんの人生の主役(軸)である彼が決めることです。「子どもだからベストの選択ができない」とおっしゃる方もいますが、では親が肩代わりして決めた人生がベストでしょうか。そこは誰にもわかりません。ひとりの子どもに、二つの人生を歩ませることなどできないからです。
お母さんはもしかしたら優秀で、親御さんが子育ての苦労が報われると実感するような子どもだったかもしれません。だとしたら、わが子がエースで「少年サッカーも実力主義だ」と主張するコーチと価値観の根っこは同じになってしまいます。
「本人は友達がいっぱいで楽しいのだそうです」とあります。
お子さんのしたいようにさせてあげましょう。私のまわりの親たち、取材で会った親たち、ぐるっと見渡すと、そうしてきた人たちがわが子を素敵な大人に育てています。
わが子の道を判断するのが子育てではありません。ただ、そこにゆるっと寄り添っていればいいのです。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。
最新刊は、ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)。