蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
2019年1月 9日
おまえは負け組だ!と罵倒。夫の行き過ぎた指導をやめさせたい問題
■息子さんを救うための3ステップ
では、ここから具体策を考えてゆきましょう。
段階は三つ。
1.夫が息子を追い込んでしまう背景を考える
夫が子ども時代にどう育ったかをよく聴いてみましょう。理不尽な仕打ちや、しつけと称して親から叩かれた経験はないか。それをどう感じていたかを尋ねてみてください。
よくあるのは、「自分も親にガンガン言われてここまでこれた」という成功体験にまつわる暴力容認派。こういった方々は実際にいらっしゃいます。ところが、広く深く取材すると、このような成功体験者に「だから、自分の子にはあまり言いたくない」とおっしゃる方が多いのも事実です。つまり、「パワハラをしない確率」も低くはないのです。
一方で、同じように圧迫されたけれど「大した選手にはなれなかったんですよ」と自虐的におっしゃる方、要するに親の期待に添えなかったと思っている方も一定数います。その方たちが同じことを繰り返すケースは少なくありません。
以前相談をしてくれた女性は「夫がサッカーのことで息子を叱るとき、何かうっ憤晴らしをしている感じがした」とおっしゃったのが印象的でした。
「負け組だ」と息子をののしるとき、過去の自分へのうっ憤を晴らしているのかも知れません。
2.子ども時代の夫を慰める
「おじいちゃん(夫の父)にいろいろ言われて嫌だったね」と過去に共感してみる。
「あの子もそうだよ。辛いと思うよ。私は子どもにはサッカーを楽しんでほしい」
そんなふうに、お母さんの思いをきちんと伝えましょう。
子どもは別の人格だから、とか、子どもにも人権がある、といった正論はなかなか通用しません。
3.夫と対等なパートナーシップを結ぶ
解決するうえで最も大事なのは、あなたが夫と対等なパートナーシップを結ぶことです。相談文に「お前は負け組だ」等の罵倒が酷くなりました、とありますが、そんなことを言われて悲しくありませんか?
「私の子どもでもあるのよ。見たくないし聴きたくない。二度と言わないで」と言って、二度と言わせてはいけません。
ご相談文に「サッカーの練習に行かないとまたセカンドだ」と脅し、泣く泣くお祭りにも行けないという状態です。 とあります。
ここでも、夫の脅しを放置してはいけません。お子さんはまだ8歳。上手い下手関係なく、最もサッカーを楽しむべき年代です。
そして、お母さんなりに抗っているのかもしれませんが、一般論ではなく「私が辛い」「私が嫌だ」と「自分はこう感じるからやめてほしい」というアイ・メッセージを送りましょう。
息子さんの親はお父さんだけではありません。
※サカイクキャンプでは、子どもたちの「楽しい」を大事にしています
相談されるお母さんたちの話を聞いていると、「子どもがかわいそう」と思いつつ、「ここで踏ん張らせて何とかしてほしい」と夫の強権への期待もかすかに感じます。
「踏ん張らせる」なんて親にはできません。踏ん張るのも、頑張るのも子どもが自分からやること。親は安全基地になって「頑張れ」と応援すればいいのです。
辛い時間でしょう。
でも、ここは家族の関係性を見直す機会だととらえ、ぜひ強いお母さんになってください。そして、私にご相談くださったように、外の人たちに是非SOSを出してください。