蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
2019年1月23日
あいつにはパス出すな!"選手いじめ"をするコーチ問題
■子どもを守るための3つのポイント
では、息子さんを守るためにどうするか。
ぜひ、三つの点を軸に、あらためてお子さんときちんと話してください。
1.いま、サッカーは楽しいのか。
2.サッカーは何のためにするのか。
3.このまま卒団したいか、それとも、卒団を待たずに辞めて、週一回のスクールだけにする。もしくは、スクールの回数を増やして、中学生になってからのキャリアにつなげる。
サッカーをするのも、怖いコーチと日々対峙するのも息子さんです。辞めたいと言わないので続けさせている、とありましたが、「辞めていいんだよ」とか「どうしたい?」と尋ねたことはありますか。
子どもですので、もしかしたら「辞める」という選択肢を考えたことさえないのかもしれません。話し合いのなかでは、親御さんもご自分の意見を言っていいと思います。
■じつは子どもの指導現場はパワハラが起きやすい
また、お母さんにわかっていてほしいのは、子どもの指導現場はパワハラが起きやすいという現状です。
例えば、小学校で教員による児童へのいじめ事件を取材したことがあります。同様に、少年サッカーの指導者による選手いじめもみてきました。
ある少年団の6年生は、コーチからいじめを受けていました。練習試合に行くと常にひとりだけ試合に出してもらえない日が続きました。理由はコーチでもあるその子の父親が、監督さんとサッカーの指導法で意見が合わないからです。
「楽しくサッカーしようなんて親が言ってるから、強い気持ちでプレーできない」などとなじられていました。
でも、御両親は、自分たちの考え方を息子にしっかり話し、中学では同じ考え方のクラブに入ることを決め、息子を励ましながら卒団しました。
その監督さんはその後少しの間過去の卒団生やその親に守られる形でチームにいましたが、そのうちに追い出されてしまいました。
子どもの人権意識が個々によってまだばらつきのある日本では、教える人(先生やコーチ)が、教えられる人(児童生徒や選手)との関係性が決して対等ではありません。
しかしその一方で、サッカーの指導環境はいい方向へと進んではいます。いつか必ず良いコーチにめぐり合えるはずです。
親子とも現実から目をそむけず、何かを学んで、中学校へ進んでください。