蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
2019年12月 4日
アホ、ボケ、ヘタクソ、もう来るな!コーチに暴言止めさせたい問題
■理不尽とわかってて何もしないのは「我慢」でなく「放置」
ブラック部活の問題を長年取材していますが、顧問の指導が暴力や暴言もあって理不尽なものだとわかっていても放置する親御さんたちがいます。その方たちはこんなふうに言ってご自分を納得させています。
「社会に出れば理不尽なこともあるから、今から我慢することに慣れておいたほうがいい」
「これ(ブラック部活)も、いい経験。顧問の先生を反面教師にすればいいので、親子で今は我慢します」
私は言います。
「我慢は大事ですが、すべてが美徳ではありません。それに、それは我慢ではありません。放置ですよ」
ブラックな指導を受けている子どもたちを放置しています。
ブラックな行為を止められない指導者を放置しています。
「そういった大人を放置するのに罪悪感も感じる」は、大いに共感します。したがって、お母さんの罪悪感に、子どもたちの無力感や絶望感、ほかの保護者の方の罪悪感も取り込んで訴えましょう。お母さんおひとりだけで、このコーチの価値観を変えることはなかなか難しいかと思います。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。
最新刊は『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。