蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
2020年1月15日
人手不足で3学年一緒の活動に。チーム混乱の少年団をやめるべきか問題
■小児科の心理医が教える子どものストレスケア
もうひとつ、お母さんにしてほしいのは、お子さんのケアです。
楽しいはずのサッカーが、練習後に泣いてしまうほど彼に取ってストレスになっています。ですが、ここはひとつの学びの機会ともとらえられます。
「下級生がふざけてちゃんとやってくれない」
息子さんが、沈んで低い小さい声で言ったら、同じように小さな低い沈んだ声で「そうかあ。ちゃんとやってくれないのが悲しいんだね」と共感してあげてください。
息子さんが、怒ってプンプンしながら言ったのなら、お母さんも「そうなの? それは怒っちゃうね。ちゃんとしてくれなかったら怒っちゃうね」と。あくまでも、お子さんが言ってきた同じ声の高さ、大きさで返すといいでしょう。
そうすると、共感してもらっていることが伝わりやすいそうです。最近、小児科の心理医の先生から直接お聞きしたアイデアです。自分のこころに親が寄り添ってくれることが伝わると、子どもはそれだけで安心します。安心すると、エネルギーが湧いてきます。
肝心なのは、そのエネルギーをどう使うかです。
「でもさ、君も1年生くらいのときはおサルさんみたいだったよ。お母さんの言うこと、全然聞いてくれなかったよ」
下級生ではまだ自己認知力が育っていないので、自分がどうあったかなど憶えてもいないし、省みてもいません。
そこを知らせたうえで「どうしたら、みんなで楽しくサッカーができるか、みんなで考えてごらんよ」と伝えましょう。
ただし、息子さんがそんな学びを獲得するには、そこに見守る大人が必要です。コーチに話してみてください。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。
最新刊は『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。