蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
2020年9月30日
サッカーチームでいじめ? 親はどう振舞えばいいのか問題
■子どもが助けを求めていないのに先回りしている可能性
三つめは、先回りしないこと。
相談の文章だけで判断できませんが、お子さんが「お母さん、僕はもう限界だ。何とかしてほしい」とSOSを出しているわけではないように見えます。それなのに、お母さんは先回りしていないでしょうか? コーチは頼りにならないと言ってらっしゃいますし、チームや仲間の良し悪しも一存で判断(評価)されています。
悪質なイジメであろうがなかろうが、チームメイトにお母さんが直接苦情を言うのはやめましょう。そして、お子さんが自分でコーチに相談することを勧めてあげてください。そこで相手にされなかったり、逆にお子さんが傷ついてしまったなら、そこで初めて一緒に話をしてはいかがでしょうか。
お母さんは、コーチや、いじめらしいことをしている子どもたちに、自分がどう挑めばよいかを私に聞きたかったかもしれません。わが子がピンチを迎えると、親として何をしたらいいかと自分が動くことを考えがちですね。
でも、子ども同士のトラブルは、親が出ていかないほうがいいケースがほとんどです。
いつも話していることの繰り返しになりますが、覚えておいてください。
「言わなければ」ではなく、子の話を「聞かなくては」と考えてください。見守ってあげましょう。
親が見守ることで、子は成長します。結果的に、子の人生を護ることになるのです。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。
最新刊は『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。