蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

2022年1月12日

威嚇するS級コーチのもとに卒業までいさせていいのか問題

■お子さんが「自分がダメだから......」と考えてしまわないよう、心のケアを


(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

そして何より重要なのは息子さんのこころのケアです。

息子さんは何も悪くないこと。暴力や暴言をするコーチから離れるべきであることをぜひ伝えてください。暴力の被害者の多くは「自分がダメな選手だから、代表を怒らせてしまう」と考えがちです。

手法が旧い指導者は激しく怒った後に「お前には期待しているよ」とやさしい言葉をかけ、それを「フォローしているから自分はいいコーチだ」と思い込んでいます。しかし、子どもはどちらのコーチが本当の姿なのか混乱します。混乱し自分を責めてしまい心を病んだりするケースは少なくありません。アメとムチはとても旧いやり方です。

自分だけで悩まず、ほかの保護者やご家族で話し合ってみましょう。よき方向に向かうことを祈っています。

 

島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。
最新刊は『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
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