蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

2022年7月20日

試合に出られない息子。上達しないのに時間の無駄と思う自分がイヤです問題

■良い結果でなかったとき、一番つらいのは本人


(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

そんな葛藤を繰り返していたある日。九州から上京した祖父母と食事に行こうとしたら、息子がゲームを途中で辞めたくないから行かないと言い出し夫と揉めました。せっかく遠方から来た祖父母に対する気持ちを夫は問いましたが、なかなか折れない息子を叩いてしまいました。

その夜、夫がとても真剣な顔で「俺たちは結局子どもに試されているんだよ」と言ったのです。もともと多くを語る人ではないのでその一言だけでしたが、私は「子どもと一緒に成長しなきゃいけないんだ」ととらえました。

以来、呪いパンチ合戦は減ってきました。良い結果でなかったときは「一番辛いのは本人」と受け止め、前向きでなくても「大人だって、やさぐれたりふてくされたりする。いつか自分で気づくまで待とう」と思えるようになりました。

「期待のお隣りさんは、悦びと嫌悪感」

この道理を知って、自分の子育てを振り返ってください。振り返りができた時点で、息子さんにやさしくなれる自分を発見するはずです。

 

島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。
最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
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