蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
2024年6月26日
努力もしないのに「プロになりたい」なんて気軽に言わないで! 自主練もしないのに「上手くなりたい」などと言って欲しくない問題
■「向上心」「自主性」「継続性」を育むには、自己肯定感が土台になる
(写真は少年サッカーのイメージ ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
3つめ。
息子さんのサッカーと距離を置きましょう。
相談文に「息子の周りには、上手くなろうと自ら考え、行動している子はたくさんいて、羨ましいと最近思い始めました」とあるように、ほかの子と比べ始めています。この本音はすでに息子さんに知られているはずです。
バスが出ているので練習を増やしたらというお母さんに息子さんが抗っているのが救いです。お母さんは息子さんが自分の意見を言える親なのです。その事実を大事に抱えて、しばらく息子さんのサッカーから離れましょう。
「向上心」「自主性」「継続性」を育むには、自己肯定感が土台になります。自己肯定感を育みたいのに、大人の物差しやダブルバインドに触れてしまうと「僕は僕のままでいいんだ」という自尊心が揺らぎます。
お母さんがもっと勉強して、息子さんの自尊心を包める存在になるまで離れましょう。離れることも、子育ての重要な要素です。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産 彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。