蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

2024年12月11日

最後の試合も上手な下級生優先でわが子ひとりだけほぼ出場なし。これまでしてきたチームへの手伝いは間違っていたのか問題

■アドバイス③出場機会がないと分かっていればチームの手伝いをしなかったのか?


(写真は少年サッカーのイメージ ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

3つめ。相談文の最後、「今まで私がしてきたクラブのお手伝いや遠征の同行、子どものクラブのためしてきたことは間違っていたんだと思いました」と書かれています。

これは、試合に出してもらえないことがわかっていれば、手伝わなかった、ということでしょうか。お父さんは息子さんを試合に出してもらうために、コーチに良い印象を与えようとチームに協力してきたのでしょうか。

恐らくどちらも違いますよね。そんなつもりでお手伝いをしてきたわけではないでしょう。よって、そこを「間違っていた」としてしまうのは、息子さんがサッカーを頑張った3年間を否定することになります。

冒頭でも伝えましたが、今は怒りが収まらないことでしょう。しかし、いま息子さん以上に腹を立てていないでしょうか。一番悔しいのは息子さんです。その悔しさに共感してあげるのは、親の務めに違いありません。

「悔しいよな。そうだよな」と、共感はぜひしてほしい。しかしながら、息子さんと「同化」してしまっては道を見失います。

この悔しさをこれからどう活かすのか、どんなふうに成長の糧にしていくのか。そんなことを息子さんと話し合えたらと思います。

 

島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産 彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。

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