信念を曲げずに積み上げてきた指導とは?
2012年5月30日
チームによってスタイルが違うドリブル。大切なのは駆け引き?それとも速さ?
ジュニア年代のクラブとして、全国的な知名度と実績を誇る、ディアブロッサ高田FC とJSC CHIBA。JSC CHIBA川島和彦監督のとディアブロッサ高田FCの川上弘仁監督にボールを持つ指導の意義、8人制について、ジュニア年代の指導ポイントなどについて、語っていただきました。ジュニア年代の指導者、保護者、必見の特別企画を全4回にわたってお届けします。
―JSC CHIBAとディアブロッサ高田FCは頻繁に交流試合をするなど、友好関係にあると聞いています。いつ頃から交流があるのでしょうか?
川島:初めて会ったのはいつだっけ? 10年じゃきかないよね。15年ぐらい?
川上:そこまではいかないと思いますけど、はっきりとはわからないですねぇ(笑)
川島:当時、僕は千葉中央という、千葉県のトレセンのチームを見ていて。
川上:僕はその頃から高田でした。当時から、川島さんが指導しているチームの選手はうまかった。足元のテクニックがありましたよね。
川島:僕の当時の高田の印象は、元気な子が多いこと。試合会場で子どもたちが遊んでいるんですよ。僕のチームも同じように遊ばせていたので、「あぁ、あのチームも遊ばせているんだ」と。それが一番の印象かな。試合以外の時間に、ジャングルジムや鉄棒で遊んでいたりしてね。
川上:いまもやっていますけどね(笑)。結構、ほったらかしていますよ。練習をしたい選手はボールを使って遊んでいますし。僕は選手に「これをしなさい」とか、そういう感じではないですね。ほうっておいたら勝手にサッカーボールで遊び始めるし、それでいいかなと思っています。やらせてばっかりでもいかんと思うし。
―この対談の前に、高田FCの招待試合でJSCと高田が対戦しました。試合の印象はいかがでしたか?
川島:高田と対戦するときは「ドリブル勝負をする」という感じだよね。とくに4年生や5年生の最初の頃は、お互いドリブルで仕掛けあうような。うちの選手と高田の子とではドリブルの質が違うので、おもしろいんですよ。JSCのドリブルを簡単にいうと、狭いところを割って入るような「速いドリブル」。これは関東のドリブルと関西のドリブルの違いでもあると思うんですけど、高田の子はそういうドリブルもするし、タメをつくるというかスピードの変化がある。
川上:うちの子はくるくる回るでしょ。たまに「やりすぎやろ」と思うぐらいに(笑)
川島:うちの選手がボールを奪いに行くと、高田の選手はバチンとぶつからずに、横にドリブルをして外そうとするんですよ。そこでもう一度ボールを取りに行こうとすると、その時点で罠にはまっていて、奪いにいった瞬間にくるっと回ってかわされる。そういうのがおもしろい。関東にはドリブルを重視するチームがあまりなくて、あったとしてもサイドのスピードのある選手や前線の選手が、スピードでスペースに出ていくようなドリブルをするんですね。高田の子はそうではなく、ボールを動かすドリブルをするので、1対1の局面でも非常におもしろいんですよ。
川上:いまはユースの監督をやっている中瀬古(宣夫)が、高田に来たときにそのスタイルを持ち込んだので、その影響も大きいですね。ちょうど前田俊介(札幌)が中1のときに、中瀬古が高田に来たんです。
川島:中瀬古先生のスタイルがベースにある上で、川上君の個性が乗っているのが、高田U-12の子たちなんじゃないかな。たとえば、相手の背中側にドリブルで仕掛けて、相手が取りに来たところをかわしたりとか。ボールを奪われないことだけに意識が向いているのではなくて。
川上:僕としても勝負できるところはしてほしいし、状況に応じてドリブルというか技術を使い分けられるようになってほしいんですよね。相手のゴール前だったらどんどん力強く仕掛けてほしいし、中盤では相手にボールを奪われずに運ぶ。そういうのを使い分けながらドリブルを入れられたらいいかなと。もちろんドリブルも大事だけど、ドリブルとパスのどちらかが相手にわからないようにやることも大事で。ドリブルと見せかけて、パスを出してワンツーでかわす。パスを出すふりをしてドリブルでかわすとか。相手との駆け引きを大事にしながらやってほしいですよね。
川上弘仁監督//ディアブロッサ高田FC
全日本少年サッカー大会・準優勝(2010年)、3位(2011年)と、近年の活躍は目覚しい。ドリブルを中心に、個人を磨く指導は全国的に有名。選手、随時募集中。スクールもある。
川島和彦監督//JSC CHIBA
少年サッカー激戦区の千葉県でJクラブと対等に渡り合う力を持ち、好選手を輩出している。ドリブルに特化したスクール「ドリ塾」を定期開催するなど、あらゆるアプローチで選手育成を行なっている。
●川島監督作製・ドリブルDVD
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