サッカーを健やかに続ける毎日習慣「早寝」「早起き」「朝ごはん」
2012年12月28日
「早寝」「早起き」の子が、体力が向上するのはなぜ?
「早寝」「早起き」の子は、健康的で体力もありそう・・・。これは単なるイメージではなく、統計的にも科学的にも十分根拠のある事実です。また子どもの生活習慣は、家族の生活リズムに影響されることが多いため、「親子で一緒に規則正しい生活」が理想的。そのために大事なポイントをまとめました。
■成長過程の小学生には、8時間以上の睡眠を
睡眠で大切なことは、「どのくらい寝ているか」という睡眠時間の長さと、「いつ寝て、いつ起きるか」という睡眠のリズムです。最適な睡眠時間については個人差もありますが、成長が続く小学生くらいまでは、8時間以上の連続した長い睡眠が必要と考えられています。
その証明の一つともいえるのが、第1回でも紹介した「睡眠時間と体力合計点との関連」です。10歳の男女では、「8時間以上の睡眠の子どもが最も体力合計点が高い」という調査結果が出ています。そして睡眠時間が短くなるほど、体力合計点は低くなる傾向にあるのです。しかし中学生では、睡眠時間による違いはそれほどなくなることから、「小学生のときほど、睡眠時間の長さが体力や体の発達と深く関わっている」といえるのです。
引用:文部科学省『子どもの体力向上のための取組ハンドブック』「1日の睡眠時間と体力合計点との関連(平成22年度)」
その理由として考えられるのは、適切な睡眠が子どもの体と心の発達を促すことで、科学的な研究も進んでいます。例えば子どもの睡眠には「心と体を休める」「体を成長させる」などの働きがあります。睡眠にはいくつもの深さの段階があり、「浅い」から「深い」までを一定のパターンで繰り返すことで、疲労を回復させ、体の成長に必要なホルモンなどを分泌させています。
特に眠ってすぐの時間帯に非常に深い睡眠状態が集中し、子どもはそれが比較的長く続くのが特徴的です。ここで成長ホルモンが多量に分泌されると考えられていますが、遅くまで起きている子は、その時間があまりとれない可能性も出てきます。
さらに眠りの後半には学習や経験を整理して記憶する、それを発展させて知識として活用する準備をするといった、脳の働きも活発になります。これは勉強だけでなく、スポーツの練習で新しい技術を身につけたときにも、とても有効な作用です。例えば「前日に身につけた技術が、睡眠をとることで整理され、翌日さらにうまくなる」というケースに当てはまるでしょう。「心と体を休める」「体を成長させる」から「心や頭を発達させる」まで、いい睡眠のパターンを生み出すには、長時間の連続した睡眠がとても大事な役割を持っているのです。
■「早寝」「早起き」が、体と心を変えるスイッチに
しかし単に長時間眠ればいいわけではなく、「いつ寝て、いつ起きるか」という睡眠のリズムも同様に大切です。体や心の発達に関わるホルモンなどは朝に多く分泌されることから、特に子どもの場合は、朝早く起きてそうした物質をしっかりと受け取ることが必要といえるでしょう。
例えば体の代謝や免疫を活発にするホルモン「コルチゾール」、精神の安定を促す「セロトニン」は、朝5時~7時頃に大量に分泌されています。こうした物質が適切に分泌されるには、「毎朝起きる時間が大体決まっている」「朝日を浴びる」ことなどが良いとされています。毎朝規則正しく起きて、カーテンを開け、部屋の中に太陽の光を取り入れる生活習慣が、子どもたちの体と心を成長させるのです。
すでに遅く寝て、遅く起きる生活習慣になっている子どもには、朝の光を浴びて体内時計をリセットすることが必要ですが、生活改善のきっかけ、早起きの動機付けとして
・朝に熱いお風呂やシャワーなどで体温上昇させて、体を目覚めさせるきっかけに。
・家族も一緒になって、夜8時以降はテレビを見ない(録画して休みの日に見るなど)。
・朝から勉強、簡単な運動など、早起きしてやるべきことを作る(家族一緒でもOK)。
といった普段の行動から、一緒に始めてみるといいかも知れません。
参考資料:「早寝早起き朝ごはん」全国協議会『早寝早起き朝ごはんガイド』
1