サカイクおすすめ!自主練グッズ特集

2022年10月 3日

自分の体の左右の違いわかりますか?ジュニア年代から身につけておきたい「セルフチェック」

イングランド・プレミアリーグのアーセナルで、2015年よりスポーツセラピストとして活動する山本孝浩さんヨーロッパを中心に20年以上活動し、イタリア代表やイングランド代表でも選手のサポートをするなど、世界トップレベルのチームから絶大な信頼を得ています。

インタビュー後編では、アーセナルで選手のケアを担当する山本さんに、ストレッチ専用器具「フレックスクッション」の活用法と「ケガを予防し、パフォーマンスをアップさせるために大切なこと」についてうかがいました。ページ下部には山本さんおすすめのストレッチ動画も掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。(取材・文 鈴木智之)

前回記事:海外トップチームでも実践!日本人スポーツセラピストが教える"ケガを防ぐ"ストレッチ

山本コーチも愛用する
フレックスクッションの秘密>>

■柔軟性に優れた選手はケガが少ない

イタリア・セリエAでプレーしていた中田英寿さんや、アーセナルに所属する冨安健洋選手など、日本のトップクラスの選手を診てきた山本孝浩さん。所属するアーセナルを始め、プレミアリーグの各クラブでは、障害予防に対する意識が高まってきているそうです。


アーセナルで選手のケアなどを務める山本孝浩さん

「中田選手も冨安選手も、自分のルーティーンがあって、それを黙々とやっていました。他の日本人選手の話を聞いても、海外でプレーしている選手はみなさん意識が高いですよね。最近はイギリスのチームの多くが、練習開始前にジムに集まって、フィットネスコーチのもと、障害予防のエクササイズを10分から20分程度行っています

山本さんが所属するアーセナルには、30人弱の選手がいます。彼らを診ていて「筋肉が柔らかい選手、柔軟性に優れた選手はケガが少なく、試合が多く長いシーズン中、コンスタントにプレーができ、選手寿命が長い」と感じるそうです。

「将来を嘱望された選手でも、ケガをしたことでコンディションが上がらず、第一線から外れてしまうことがあります。そう考えると『いかにしてケガをしない体を作るか?』は、とても重要なことだと思います。そのためには柔軟性も大切な要素の一つです。チームのトレーニング以外に、『自分には何が足らないのか?』『何が必要なのか?』を考えて自己管理に取り組むことのできる選手は、成長していくと言えるのではないでしょうか」

■ストレッチの習慣で、自分の体をチェックできるように

自分の体を自分でチェックすることを「セルフチェック」と言いますが、小学生年代から、ストレッチやエクササイズを通じて、自分の体と対話をする習慣をつけることは、長い目で見て大きなメリットがあります。

小中学生の頃から、ストレッチをする習慣をつけるのは、すごくいいことだと思います。たとえば上半身を左右にひねってみて、右は伸びるけど、左は伸ばしづらいなど、気がつくことがありますよね。そういう変化に気がつく能力を持っていると、ケアにも意識が向くようになるのかなと思います」


内転筋ストレッチ。ひねりを入れることで左右の伸びの違いがセルフチェックできる

ストレッチには、大きく分けて動的ストレッチ静的ストレッチの2種類があります。山本さんは「ストレッチを長くやりすぎると、筋肉が緩んで力が出なくなる」と言われていますが、グラウンドに出る前は、動きのある動的ストレッチ。試合後には疲労回復を目的とした静的ストレッチで体を伸ばすと使い分ければ、まったく問題ないと思います」とストレッチの有用性を訴えます。

フレックスクッションを使うと、正しい姿勢でストレッチができたり、伸ばすときの痛みが軽減されたりと、サポートをしてくれるのでおすすめです。


プロにも愛用者が多いフレックスクッション

山本コーチも愛用する
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■骨盤が立つことで、気になる「姿勢」の改善にもつながる

さらには、子どもたちの気になる「姿勢」にも、フレックスクッションを使ってアプローチすることができます。

山本さんは「フレックスクッションのように傾斜のついた面に座ると、骨盤が立ちます。骨盤が立つと脊柱が伸び、胸が開くので、呼吸もしやすくなります。股関節が硬い人は脚を伸ばした状態で、フレックスクッションに座るだけでもいいと思います」とアドバイスを送ります。

股関節やハムストリングが硬い人は、座った状態で前屈をすると、痛みが出ることがあります。その場合はフレックスクッションに座って、胸を張る、つまり胸椎を引き上げる姿勢をキープしましょう。そうすると骨盤が立つと同時にテンションがかかるので、ハムストリングが硬い人は、それだけで伸びていくのがわかります。無理に前屈をしなくてもいいので、まずはそこからやってみてください」


フレックスクッションに開脚して座り、胸を張るだけでも股関節を伸ばすことができる
(画像はフレックスクッション付属のトレーニング動画より)

■キック力を上げるには上半身の柔軟性も忘れずに

サッカーにおいて大切な柔軟性を高めるためには、下半身だけでなく、上半身の可動性も重要です。

「僕がよくやっているのが、ランジの状態で後方の脚の下にフレックスクッションを置き、その状態で股関節を伸ばすこと。さらに、上半身を左右にひねることで、動きの改善や柔軟性の強化につながります」

ランジの状態で両手を頭の後ろで組む、もしくは短めの棒を両手で持ち、頭の後ろでキープした状態で、体を左右にひねります。そうすることで腸腰筋や四頭筋、股関節の伸展につながります。

「上半身をひねった後は、左右に倒す動きを入れるのもおすすめです。そうすることで、体の左右差がわかります。可動域の狭い方を多くするなどして、調整してもらえたらと思います」


ランジの状態から左右に倒す動きを入れる

山本さんは「強いボールを蹴るためには、上半身の回旋が重要です」と言葉に力を込めます。

「シュートなどの強いボールを蹴るときは、下半身の動きに加え、腕などの上半身をひねる動作がポイントになります。言い換えると、上半身で回転を生むことで、スムーズに足が出るわけです。上半身が硬く、ひねりを使えない選手は、足の力だけでボールを蹴ろうとします。そうすると股関節に大きな負荷がかかり、股関節痛、腰痛などにもなりやすいです。障害予防の為にも、先ほど紹介した上半身をひねる、倒すなど、回転を意識したストレッチをする事をお勧めします。プロ選手はよくやっていますよ」

ケガの予防だけでなく、サッカーのパフォーマンスアップにも、ストレッチを含めたエクササイズは欠かすことができません。小学生でも、ひとりでお家でできるので、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか?  

子どもの頃から良い習慣をつけ、ケガなく、より良いプレーをするために、ストレッチを始めてみましょう!

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やってみよう!山本さんおすすめのストレッチ

■ひねりを入れるランジ

■内転筋ストレッチ

■姿勢をよくする上半身のストレッチ

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