JFAグラスルーツ推進部部長が行く!あなたの街のサッカーチーム訪問

2016年7月28日

「子どもが成長するために必要なのは練習よりも試合」上鷺ノ宮少年サッカークラブが"あすなろリーグ"をはじめた理由

日本サッカー協会のグラスルーツ推進部、松田薫二部長があなたの街のサッカーチームを訪問し、少年サッカーの課題解決に努めていく当連載。前回は上鷺ノ宮少年サッカークラブ(KFC)が“すべての選手が試合に出場するため”に立ち上げた『あすなろリーグ』の全容や、西村栄次郎監督の考え方をお伝えしました。今回は、あすなろリーグに出場した選手たちに、実際どのような変化が起きたのか。その効果に迫っていきます。(取材・文 大塚一樹)

 
<<サッカー少年に補欠ゼロのリーグ戦を!上鷺宮SCがはじめた"あすなろリーグ"とは
 

■やっぱり試合は楽しい!責任をもってプレーできるようになった

あすなろリーグが始まって、KFCや近隣地域のクラブの子どもたちには大きな変化が起きたと言います。
 
「ほら、あの子はあすなろリーグに出るようになってプレーが全然変わりました。プレーの重さというか、責任を持ってプレーするようになった。子どもが成長するために必要なのは練習よりも試合なんですよ。いまAとBがやっていますけど、Bチームも『Aチームの調整相手』ではなくて、あすなろリーグを戦うための練習という意識でやっていますから。AにもBにも相乗効果があります」
 
西村さんが選手を指さしながら解説を始めると、松田さんも身を乗り出すようにして子どもたちのプレーを見つめます。
 
「自信ですよね。試合で学べることがそれだけプレーに大きな影響を与えるってことですよね」
 
松田さんの言葉を受けて西村さんが笑顔でこんなエピソードを紹介してくれました。
 
「あすなろリーグをやる前も練習試合を含めればみんな試合に出ることはできていたんです。でもあすなろという目標ができて、みんな『サッカーが好きになった』って言うんです。『あれ?ちょっと待って、おまえサッカー嫌いだったの?』って選手に聞いたら、『そう』って笑ってました(笑)」
 
人生はサッカーだけじゃない、勉強もその他の活動も大歓迎というKFCですが、今年の6年生は、進学や塾通いを理由にした“早めの引退”がほとんどなかったと言います。西村さんには「あすなろがあるから続けたい」という子どもたちの声と「試合に出られて楽しそう」という保護者、両方の喜びの声が届いているそうです。
 

■松田部長が語る!鷺ノ宮少年サッカークラブを訪れてみて

 
長く地域に密着する歴史あるクラブ、KFCは練習を見ているだけで“楽しさ”が伝わってくるクラブでした。グラウンドでボールを追っている子どもたち、ほとんどがパパさんコーチという指導者がみんな笑顔でサッカーをしている。クラブとして、勝つことよりも、子ども一人ひとりが成長できる環境作りに注力している様子が見て取れました。
 
あすなろリーグが始まってさらに選手たちがサッカーを楽しめるようになったというのは『みんなPlay』でも広げていきたい大切な部分です。選手たちはみんな試合が楽しい!? 試合でしか得られないことがある、自分たちの居場所なんだなと改めて気がつかされました。
 
西村監督が「環境づくりと責任」と仰っていましたが、JFAとしても、すべてを規則で縛ってこうしなさいと上から下に下ろしているつもりはないんです。「子どもたちのために」というのは協会も現場も共通していることですから、そこを原点に問題をクリアしていければと思います。もちろんグラスルーツ推進部でも、環境調整のしやすい形を提案、サポートしていかなければと強く思いました。
 
 

みんなPlay!上鷺宮少年サッカークラブのグラスルーツ宣言

好きで始めたサッカーなのに試合を経験できないことは辛いと思います。 「試合に勝つ」ことは重要ですが、「試合にでる」ことはもっと重要であると 考えます。上手いとか、下手とかではなく、「サッカーが誰よりも好き」である子どもたちに「試合を経験できる」環境をつくりたい。
 
あすなろリーグ(2016年4月スタート)
U-12リーグがスタートしどうしても長期間出場の機会がない、又少ない選手ができてしまう現状に対し試合を経験してもらいUー15でもサッカーを自分のレベルで継続できるようにさせたい。
 
ルール
・6年生の控え選手が1試合出来るようにする。足りないチームは他学年を補充しても良い(5年生強化にならないように)
・両チームに45分を設定するので、試合時間は自由に設定してよい。
45分1本(短時間で押しきれるイケイケサッカーを考えさせる)
15分3本(3ピリオド休みなし)
20分ー5分ー20分
・審判は相互(前半・後半)2人制でもよい。
他ブロックも含め12チームが賛同し、U-12リーグと並行し行う。
 
詳しくはこちら>>
 
 

あなたの身近にいるサッカー少年のために!JFAグラスルーツ推進・賛同パートナー制度に登録しよう!

すぐに!だれでも!簡単に!パートナー制度申請フォームはこちら>>

 

■グラスルーツ推進・賛同パートナー制度ってなに?
この制度の目的はJFAが掲げる『JFAグラスルーツ宣言』に賛同し、共に行動していただける団体と仲間になることで、グラスルーツサッカーの環境改善を推進することです。本制度の賛同パートナーになってもらい、その活動の理念や内容が好事例として日本全国に広く伝わり、JFAと同様の考え方で進められている活動であるという理解が深まることを期待しています。また、さまざまな好事例を多くの方々と共有することで、全国により良い環境が広がるきっかけになればと思っています。ぜひ賛同パートナーとなり、グラスルーツサッカーの環境改善にご協力下さい。
 
■グラスルーツ推進・賛同パートナー制度に申請する2つのメリット
1.あなたの団体・チームの宣言・活動内容等がJFA.jpに掲載されます。
2.松田部長とサカイク編集部が取材に伺うかもしれません。
 
■3つのテーマ
 
今回取材した上鷺宮SCは、『ずっとEnjoy!』『みんなPlay!』の賛同パートナーです。
 
■こんな活動をしていると認定してくれる
 
学校卒業、就職、転勤等、人生の節目で「引退」して終わるのではなく、サッカーをやりたい人は、どこにいても気軽にサッカーが継続できるように、子どもからお年寄りまで、生涯にわたってサッカーやスポーツを楽しめる場づくりに取り組む団体(※)を認定します。
 
※指導方法や選手への意識づけという面だけでなく、実際に切れ目なく定期的・継続的にプレーする場を提供している、または今後提供を予定している団体
 
『補欠ゼロ』には、「上手い・下手関係なく、その人のレベルに応じて必ず試合を楽しめるようにしたい」という思いが込められています。レギュレーションによって全員が試合に出られないこともあります。しかし、その試合に出られなくても他の試合でしっかりと出られるようにする等、万年補欠でサッカーを終えることなく、みんなが心からサッカーを楽しむことができるように取り組む団体を認定します。
 
サッカーはみんなのもの。障がいを持つ人も安心してサッカーを楽しめるようになれば、豊かな社会の実現の一助となるでしょう。そのためには、多くの人達が障がいのことを理解し、どうすればみんなが楽しめようになれるかを考え行動することが必要です。「障がいの有る無しに関わらず、サッカーやスポーツを通じて、安心して個性が発揮できる場づくりに取り組む団体を認定します。
 
すぐに!だれでも!簡単に!パートナー制度申請フォームはこちら>>
 
1

関連記事

関連記事一覧へ