JFAグラスルーツ推進部部長が行く!あなたの街のサッカーチーム訪問
2016年11月17日
サッカーは楽しくなければいけないし、みんながプレーできるのが理想
福岡県春日市、春日イーグルスを訪れた日本サッカー協会、グラスルーツ推進部松田薫二部長。総合スポーツクラブとして歴史を重ね、地域に根付いてきたイーグルスの魅力のひとつは、試合の勝敗やサッカーの技術向上だけでなく、サッカーを通じた成長と、地域貢献を目指している点でした。松田部長の取材はさらに続きます。(取材・文 大塚一樹)
■街にサッカーがあって、そこにイーグルスの仲間がいる日常
4、5年生の練習が終わると、別の小学校で指導に当たっていたクラブの代表、渡邊透さんが6年生の練習場所に案内してくれました。会場の春日市総合スポーツセンターは今年竣工したばかりの施設で、イーグルスの各カテゴリのチームもここを利用して練習に励んでいます。渡邊代表に話を聞いている最中も、イーグルスの小学生、中学生、高校生が続々と集まってきます。
「選手、スタッフなどイーグルスに関わる人間は千人くらいはいると思いますよ」
日常行われている練習を見ただけで、春日市にイーグルスがどれだけ根付いているか、この光景がいかに当たり前かがよくわかります。
「JFAグラスルーツ推進・賛同パートナーの募集を見たとき、『これはぜひイーグルスが応募しなければいけない』と思ったと同時に、『ここに書いてあることはイーグルスの日常だ』とも思ったんです」
渡邊代表の言葉に松田部長も納得した様子でした。
「賛同パートナー制度は、グラスルーツの現場でさまざまな良い活動をしている人たちとつながるために企画したんです。イーグルスさんのように、すでにグラスルーツの理念を体現しているクラブに学ばせてもらえるのはとてもうれしいことです」
■社会の問題に対して、サッカーにできること
JFAグラスルーツ推進・賛同パートナーの発案者でもある松田部長は、こうした活動をもっと全国の指導者、保護者、そして選手たちに知って欲しいと言います。
長い歴史を積み重ねてきた結果、春日市内の小学校では、「サッカーをやるならイーグルス」という雰囲気ができあがっています。そうなると、イーグルスの活動はいちサッカークラブの枠組みを超えて、地域のコミュニティ、教育にも深く関わることになります。
前代表の井上会長は自治体と協力して、地域のコミュニケーション、人づくり、教育に貢献したいと願っていたそうです。
社会や子どもたちを取り巻く環境の変化もあり、子どもたちが抱える問題は学校や家庭だけで解決するのが困難になってきています。井上さんはこうした問題の解決に、イーグルスが関わり、サッカーやスポーツが貢献できるのではないかと考えています。
「不登校の問題も何度も言っているように、居場所を作ると言うことが解決の糸口、きっかけになる可能性はあると思うんです。イーグルスでは、市からの依頼で不登校の中学生へのスポーツ体験、スポーツ交流を行っています。無理に引っ張り出すんじゃなくて、楽しそうだなと思ったら来てみてよというスタンスで、いろいろなスポーツ、ボウリングとかレクリエーションで身体を動かしてもらうということをやっています」
「前々からスポーツをうまく活用して、そういう活動ができないかと考えていたんです!」
松田部長もスポーツ交流を通じたコミュニケーション、社会貢献に可能性を感じる一人です。
「それで登校できるようになったとか、結果を追跡したりはしていないんですけど、学校は行きたくないけど、身体は動かしたい、スポーツなら、遊びなら外に出ても良いよという子どもはいるんじゃないかと思うんです」
井上さんが教えてくれたイーグルスの取り組みは、松田部長にとっても大いに参考になった様子でした。
「いろいろな取り組みをしてきましたけど、教育問題とか、子どもたちの成長に関わるようなことは、クラブだけではなかなか難しい。私が留学していたドイツではサッカーと子どもたちの関係や、学校のあり方、教育への取り組みがそもそも違います。日本の子どもたち、春日市の子どもたちにイーグルスがどんなことを提供できるのかは、ようやく下準備ができてきた段階。これからですよ」
総合型スポーツクラブは地域と密接に関わり、貢献すべき。それが本当のクラブ文化だと井上さんは言います。
「イーグルスでサッカーをやっていると思いやりがある子になる。サッカーをやっているから自分はこうなった。子どもたちがそんな風に思えるようになったら良いですよね」
現在のクラブ代表である渡邊さんも、イーグルスはサッカーやスポーツを通じて地域に貢献すべきという理念をしっかり受け継いでいます。
「だからサッカーは楽しくなければいけないし、ずっと続けて欲しい。みんながプレーできるのが理想だし、だれでも参加できるイーグルスでありたいと思っているんです」
こうした理念を聞けば聞くほどイーグルスが「ずっとEnjoy♬」「みんなPlay!」「だれでもJoin♪」のすべてを体現してきたクラブだということがわかります。
取材の最後に渡邊代表は本当のクラブ文化が根付きつつある春日市、イーグルスの未来について、こんな思いを語ってくれました。
「ゆりかごから墓場まで。本当にそんな風になるといいと思っています」
■松田部長の感想
環境面もそうですが、福岡にこんなに素晴らしいクラブがあるとは知りませんでした。ヨーロッパに学んだ総合型スポーツクラブ、それがすでに30年以上も前からあった。井上さんや渡邊さんのお話を聞けば聞くほど、全国のみなさんに春日イーグルスを知ってもらいたいという気持ちが強くなりました。
サッカーを通じた地域貢献や自治体との関係、すでに独自のコミュニティを作っているイーグルスのようなクラブが各地にできたら、日本のサッカーは新たなステージを迎えることができるんじゃないかと思います。私も今でも現役でプレーしていますが、春日市に住んでイーグルスでプレーしたいと思うくらいです。
イーグルスにお邪魔して思ったのは、「来なければわからないことがたくさんある」ということです。JFAグラスルーツ推進・賛同パートナー制度をより意義深いものにするために、これからも全国各地に足を運んで、地域に貢献するグラスルーツクラブを自分の目で見たいと思いました。
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