楽しまなければ勝てない~世界と闘う“こころ”のつくりかた

2018年9月27日

苦しくて余裕がないと難しいけど... 仲間を大切にした"徳"は必ず自分に還ってくる

■同調圧力が強い日本では、子どもたちの自己肯定感も低い/リスク回避思考を卒業して成長するための挑戦を始めるために大人がすべきこと

ところが、仲間をそんなふうにとらえていない子どもは、「自分もミスしたら嫌だから、弱いパスを回そう」と互いに成長するはずの「挑戦」をしません。

出展:内閣府「平成26年版 子ども・若者白書(全体版)

その背景には、日本の子どもたちの「低い自己肯定感」「高い同調圧力」が横たわっています。諸外国と比べ、日本の子どもは、「自分自身に満足している」「自分には長所があると思う」といった自己肯定感調査では最低の値が出ています。

これには、日本の社会全体に「あまり自己肯定的でないほうがいい」「自信満々だと嫌われる」という空気、すなわち同調圧力があることも関係しています。

小さいころから「目立つと嫌われる」「みんな仲良く」と刷り込まれ、「出る杭は打たれる」「長いものには巻かれろ」という空気の中で育つ日本の子どもと、「主張しろ」「他人との違いを見せろ」といった強い個が望ましいとされる社会で育てられる欧米の子では違いが出るのは当然なのかもしれません。

冒頭に登場した大坂選手も、今のコーチと出会う前は非常にネガティブ志向だったと聞きました。
まずは、大人たちが否定ばかりせずに、子どもたちを肯定すること。そうすることで、子どもたちは互いを大切にし始めます。

<< 前回 | 連載一覧 >>

高橋正紀(たかはし・まさのり)

1963年、神奈川県出身。筑波大学体育専門学群ではサッカー部。同大学大学院でスポーツ哲学を専攻。ドイツ国立ケルンスポーツ大学大学院留学中に考察を開始した「スポーツマンのこころ」の有効性をスポーツ精神医学領域の研究で実証し、医学博士号を取得。岐阜経済大学経営学部教授及び副学長を務めながら、講演等を継続。聴講者はのべ5万人に及ぶ。同大サッカー部総監督でもあり、Jリーガーを輩出している。
Jリーグマッチコミッショナー、岐阜県サッカー協会インストラクター、NPO法人バルシューレジャパン理事等を務める。主な資格は、日本サッカー協会公認A級コーチ、レクリエーションインストラクター、障害者スポーツ指導員中級など。

前へ 1  2

関連記事

関連記事一覧へ