本番に強い子を育てるために大切なこと

2017年1月26日

ダメなところ探しをしないで「ありのままの我が子」を受け止めることが自信をつけさせる第一歩

この連載では、メンタル・トレーナーの森川陽太郎さんに、本番に弱い子どもへの声かけのコツや、メンタル・トレーニングの方法、本来の力を発揮したり目標を達成するために必要な自信の育て方についてお話を伺ってきました。
 
最終回となる今回は、本番に強い子に育てるために、親として心がけるべき姿勢について、森川さんにアドバイスをいただきます。(文:熊本りか)
 
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■「マイナスの感情を味わう経験」があってこそ本番に強くなれる

「本番に弱い子」に共通するのは、「マイナスの感情の経験値」がとても低いということです。マイナスの感情とは、「怖い」「悔しい」「悲しい」といったものです。これらは多くの人にとって嫌なものかもしれませんが、決して悪いものではありません。ただ、ある程度の経験値がなければ、その感情にきちんと向き合うのが難しいのは事実です。
 
感情の経験値は本来、「その感情を味わう」だけではなく、「その感情を味わいながら行動を起こす」経験によって磨かれます。ところが、最近の多くの子どもたちは「怖い」「悔しい」「悲しい」といったマイナスの感情をもたずに済むようにと、周りから守られすぎています。そのせいで、自分にとって嫌な感情が湧くと、すぐに「できない」とあきらめてしまったり、逆にその感情を完全に打ち消そうとしたります。そしてその結果、実力が発揮できなくなってしまうのです。これではマイナスの感情の経験値は上がりません。
 
お父さんやお母さんに心がけていただきたいのは、マイナスの感情を味わう機会をお子さんから必要以上に奪わないでほしいということです。お子さんがマイナスの感情に押しつぶされそうになっていたら、そこからただ逃げるのではなく、どんなに小さなことでもいいので、まず一歩を踏み出すことをぜひ後押ししてあげてください。その一歩こそが、今、その子が確実にできること、つまり、僕がこの連載で繰り返しお話している「OKライン」なのです。
 
「緊張するからやりたくない」「怖いからやりたくない」というのはある意味当然のことです。でも、そうやって感情と行動を一致させているうちは、いつ、どんなふうにわいてくるのか予想できないやっかいな「感情」というものに、いつも行動がコントロールされてしまいます。
 
感情にコントロールされずに行動が起こせる力を育てること。これがまさしく「本番に強い子」を育てるということなのです。
 
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