あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
2017年4月 3日
楽しいだけじゃ勝てない。練習には厳しさも必要では? [池上正コーチングゼミ]
■自分の意思で楽しんで来なかった子どもはもろい
例えば幼児期は、ボールを追いかけているだけで楽しいです。みなさんも公園などで、キャッキャと歓声をあげながらボールを追いかけている子をみかけますね。ボールが転がっている。それを蹴る、つかむ。それだけで楽しい。
それが小学生になって2年生、3年生くらいになると、うまくパスができた、ボールを奪えた、ゴールを決めた、試合で勝ったといった成功体験に楽しみを覚えてきます。
高学年になると、できなかったことができるようになる喜びや、できることが増える達成感が楽しみになります。そのなかには、苦しいときに自分の意思で走ってチームのピンチを救って、仲間に感謝される。そのような他者とのかかわりも含まれていきます。
自分の力で楽しみを見つけて前進してきた子どもは、中学生年代(ジュニアユース)以降に壁にぶつかっても、サッカーを続ける子が多いです。例えば、けがをした、レギュラーになれない。そのようなことがあっても、自らサッカーに取り組んできた小学生時代の6年間に支えられます。「サッカーは楽しい」とわかっているのでやめません。
反対に、自分の意思で楽しんで来なかった場合は非常にもろいです。
「やめるのはもったいないね」と周囲に言われながら、「もう、サッカーはいいや」とスパイクを脱いだ子をたくさん知っています。
では、どうするか。
怖い顔で厳しくすることに心を砕くよりも、夢中になるトレーニングのやらせ方を考えませんか。楽しくて夢中になれるメニューで、コーチからもほめて励ましてもらえる環境なら、子どもはサボらずにどんどんやり続けます。試合に負けても「また、頑張ろう!」と取り組みます。
池上 正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。
12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだすオトナのおきて10』をはじめ、近著の『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(ともに監修/カンゼン)など多くの著書がある。