あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
2017年4月28日
基礎練習になると子どもたちが飽きてしまう。効果的かつ楽しめる練習メニューはある?
■キックの種類は気にする必要なし
もう高学年なので、ビブスをハンガーにかけてゴールネットやクロスバーにぶら下げて、狙う競争をさせてもよいでしょう。これも、よくやるのはフリーキック(FK)のシチュエーションですが、ほかにも、2人組でポストマンからボールを流してもらうポストシュートや、ドリブルをしてきて最後にフェイントを入れ、相手をかわすイメージをもってシュートするなど、さまざまなパターンが考えられます。
どのメニューも、冒頭で述べたように競争させ、その都度勝ち負けが決まるような仕組みにして行います。そして、指導者が気をつけなくてはいけないのは、スムーズにやらせたいあまりに世話を焼き過ぎないことです。
例えば「階段キック」で、コーンに当てたボールを拾いに行った子どもの体に、次に蹴った子のキックに当たったりします。そうしたときに「ほら、気をつけなきゃ!よく見ないと当たっちゃうよ」などと言ってはいけません。
「当たったね。どうしたらいいんだろうね?」と言って見守ってください。多くは、邪魔された子が文句を言いますが、その子にも「よく見て蹴ろうね」くらいでよいのです。
もうひとつ、インサイドか、インステップかはあまり気にする必要はありません。それぞれ子どもによって正確に蹴れるキックの種類は異なります。大人は「インサイドキックが一番正確に蹴れる」と思いがちですが、実はそうではありません。動きながらの試合のなかで「足のさまざまな部分で蹴れるほうが可能性が広がるよ」というメッセージだけ伝えればよいと思います。
これらのメニューは、私が初めて監修した練習メニューの本『池上正の子どもが伸びるサッカーの練習』(池田書店)に詳しく載っています。どれも、子どもたちが楽しくできるメニューです。「新米コーチ」とおっしゃっているご相談の方には特に参考になると思います。
池上 正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。
12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだすオトナのおきて10』をはじめ、近著の『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(ともに監修/カンゼン)など多くの著書がある。