あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
2017年7月21日
自分は楽しくプレーさせたいのに同じチームのコーチが厳しい! 指導法が違うギャップをどう埋めればよいのか
■「子どもが楽しめる」ための提案として間接的に伝える
私の経験やこれまで見てきた事例から考えると、個人対個人で話しても決して良い方向に向かいません。ケンカになって、結局はどちらかがそのチームを去ることが多いようです。本来なら、オープンに互いの指導をアドバイスしあえるのが理想ですが、日本人はそのようなコミュニケーションに慣れていないようです。
ですので、この場合は、コーチ会議など他のコーチも集まった席で「子どもがサッカーを楽しめるアプローチを考えませんか」といった提案をするなどして、全体の方針として発言してはいかがでしょうか。そうすれば、間接的に厳しいコーチにも伝わるはずです。
そのために「楽しめるアプローチのほうがいい」証左になる材料を集めることも大事です。子どもたちに平日のコーチの指導を受けたときの気持ちを尋ねたら、週末のご自分の指導ではどう感じているかを聞いておきましょう。
「楽しい」「もっとうまくなりたいと思う」「あっという間に練習が終わっちゃう」「またやりたいと思う」
きっとそんな感想が出てくると思います。それはすべて内発的な動機付け。要するに子どもたちが自分からうまくなろうとしている証しです。そのような話をして、コーチ全員で共有し合えば、平日の担当コーチも少しずつ変わっていくと思います。
池上 正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。
12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。